請負契約書とは?無料テンプレート・雛形や書き方をご紹介

更新: 2023-02-07 19:08

当事者の一方が仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することを「請負」といいます。仕事を依頼する人と請負人が交わす「請負契約書」ですが、初めて作成する際にはどのような内容を盛り込めばいいのかで悩むこともあるでしょう。 この記事では、請負契約書の概要から書き方について、詳しく解説します。

  • 目次

仕事を依頼する人と請負人が交わす「請負契約書」ですが、初めて作成する際にはどのような内容を盛り込めばいいのかで悩むこともあるでしょう。
この記事では、請負契約書の概要から書き方について、詳しく解説します。
無料のテンプレートが利用できるサービスもご紹介するので、ぜひ役立ててください。

請負契約書の基礎知識

当事者の一方が仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することを「請負」といいます。
請負は業務委託の一種ともいえますが、一般的に、請負人に対して業務の手順や工程に関する指揮命令権がなく、請負人が成果物の完成の義務を負うことなどが特徴です。
では、請負契約書とはどのようなものなのでしょうか。

請負契約書とは?

請負契約を締結するための書類が、「請負契約書」です。
請負契約について定めている民法632条の「当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約すること」に双方が合意した証明として契約書に記し、取り交わします。

請負契約書は、WEBサイトの作成や家屋の建築などの目に見える成果物、仕事の完成があるものについても交わされるのが一般的です。
契約書を締結しておくことで、双方の理解をすり合わせ、言った言わないのトラブル発生のリスクを低減することが可能です。

請負契約と委任契約・準委任契約の違い

請負契約と委任契約、準委任契約は、いずれも受任者に対する指揮命令権はありません。
ただし、それぞれ報酬を支払う対象が異なります。
一般的に「仕事の完成」が目的となる請負契約と違い、委任契約では「委託した法律行為となる事務処理の遂行」準委任契約では「委託した法律行為以外の事務処理の遂行」が目的です。
委任契約は不動産の賃貸や動産の売買などの業務で交わされ、準委任契約はコンサルティングや研修、システム保守や運営などの業務で交わされることが多いです。

委任契約と準委任契約は業務の遂行に対して報酬を支払う契約のため、仕事が完成しているかどうかについては原則として問われません。
どの契約を結ぶかについては、委託する業務内容に準じて選びましょう。

関連リンク
業務を委託する「委任契約」とは?間違えやすい準委任・請負契約との違い

請負契約と委任契約・準委任契約の違い


請負契約の流れと必要書類

請負契約を交わす際の一般的な流れと必要書類について、具体的に解説します。

請負契約の流れ

  1. 依頼(注文者)
  2. 見積書作成(請負人)
  3. 発注(注文者)
  4. 契約内容をすり合わせ(注文者・請負人)
  5. 請負契約書を作成(注文者・請負人)
  6. 業務開始・納品(請負人)
  7. 検収(注文者)
  8. 請求書発行(請負人)
  9. 支払い(注文者)
  10. 領収書発行(請負人)


一般的には、注文者が仕事を依頼し、請負人が見積書を提出、その後注文者が発注書を発行したタイミングで請負契約書を締結します。
注文者と請負人が仕事の具体的な内容や金額、納期などを詳しく決めて納得した内容を、請負契約書として最終確認し可視化する流れです。

請負契約書を締結したら、実際の業務がスタート。
納入が完了したら注文者が検収を行い、問題がなければ請負人が請求書を発行、注文者が支払いを行います。
ただし、当事者の意向や業務内容などにより、上記以外の流れで進むこともあります。

請負契約での必要書類

建設工事の請負契約では、建設業法により契約書を作成する義務があります。
しかし、それ以外の請負契約をする際には、法律上において契約書を作成する義務はありません。
ですが請負契約をスムーズにトラブルなく進めるためには、最低限、請負契約書だけでも作成しておくと安心です。

請負契約では、契約書のほかに下記の書類が必要になることがあります。

  • 見積書
  • 発注書
  • 納品書
  • 検収書
  • 請求書


場合によっては、依頼書や領収書が必要になることもあります。
請負人と注文者双方で必要な書類についてヒアリングし、あらかじめ用意しておくといいでしょう。




請負契約書の書き方と要点


請負契約書には決まった書式がないので、具体的な業務の内容に合わせて必要な項目を記載していく必要があります。
ここでは、一般的な請負契約書に記載しておきたい項目と、それぞれの書き方、要点についてご紹介します。

原材料費の負担

原材料を必要とする仕事の場合は、原材料費の負担について明記します。
請負人と注文者、どちらがどこまで負担するのかについて細かく記載しておくと安心です。

成果物

成果物は、請負契約において「契約の目的」である仕事の完成物を意味します。
どのような形を「成果物」とするのか、どのような内容の仕事をどれくらいの量完成させるのかなど、具体的に記す必要があります。
記載したい内容が多い場合には、別紙にまとめて添付しても問題ありません。
どのような仕事が完成した場合に報酬が発生するのかについてが明確でないと、後にトラブルとなるリスクがありますので、成果物の内容は最初にきちんと決めておくことが重要です。

契約金額

成果物に対して、注文者が支払う金額を明記します。
請負人が仕事を完成させるのが義務を負うのに対し、注文者は仕事の完成に対して報酬の支払いが義務となるため、ここは必要不可欠な項目です。

納入方法

請負人が、いつまでに、どのような方法で、成果物を納品または納入するのかについて定めます。
この項目は、「成果物」の内容と併せて、別紙を作成して添付するのも効果的です。
また、納期に間に合わない万が一のケースの対処法についても明記しておくと、トラブルを回避しやすくなります。

検収基準

成果物に対して検収を行うことだけでなく、どのような基準で成果物を検収するのかについても可能な範囲で記載します。
「引渡後〇日以内に異議がない場合には検収に合格したものとみなす」などの記載を入れることも多いです。
この項目も、成果物などと併せて別紙に記載しても良いでしょう。

支払方法

成果物が納入されたら、どのようにして契約金額の支払いを行うのかについて、細かく明記します。
いつまでに、どのような方法で、どこへ支払うのか、また、振込の場合は手数料の負担はどうするのかを定めましょう。
納入期日があらかじめ決まっていれば、「甲は、乙に対し、請求書の発行に従い報酬を〇年〇月〇日までに乙の指定する金融機関に振り込むものとする」などと記載します。
手数料は注文者が負担するのが一般的ですが、双方の交渉により決めても問題ありません。

知的財産権

デザイン業務やソフトウェア開発業務などの、成果物に知的財産権が発生する場合には、権利の帰属先を定めておきます。
一般的に知的財産権は、納入をもって注文者に帰属することが多い傾向です。
この項目がないと、後々トラブルに発展するケースもあるので忘れずに記載しましょう。

再委託

請負人が請け負った業務を別の者へ委託することを、再委託といいます。
セキュリティなどの観点から再委託を禁止することも可能ですし、再委託を可能としても問題ありません。
可能とする場合は、「注文者の事前の書面による承諾を得れば再委託しても問題ない」などとしておくことや、また、「再委託先に、契約に基づいて請負人が負担するのと同様の義務を負わせる」ことなどを定めておくと、セキュリティの面でも安心度が高くなります。



遅延と損害金

期日になっても納入ができない場合について、損害金を定める項目です。
あらかじめ遅延が発生した場合の損害金を定めておくと、後々のトラブルを回避しやすくなります。

契約不適合責任(改正前民法の瑕疵担保責任)

成果物を納入した後であっても、何らかの欠陥が見つかることがあります。
この欠陥が契約内容に適合しないものであった場合について定めるのが、この項目です。
2020年4月の民法改正によって、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと呼び方が変わりました。

一般的には一定の保証期間を設け、その期間内においては請負人が成果物に対する責任を負います。
万が一欠陥が判明した際には、無償での欠陥修復、代替品の引渡し、代金減額等を行うように明記します。
場合によっては、修復等だけでなく損害賠償請求や解除権が発生する内容にしても良いでしょう。
契約不適合となる範囲が広くなるケースでは、別紙を用意して細かく定義することもあります。

関連リンク
これって契約不履行?具体例と発生時の対処方法を解説

契約の解除

請負人もしくは注文者が、契約違反をしたり背信行為をしたりといった、信頼関係が損なわれる事態になった場合に、契約を解除できる旨を記載します。
また、実際に契約を解除する場合に催告をするのか、催告なしで解除できるのかについても明記しておきましょう。
契約解除事由として定める主な内容は、例えば下記のような事由です。

  • 契約の定めに違反したとき
  • 支払不能になったこと又は支払の停止
  • 自ら振り出し又は引き受けた手形若しくは小切手の不渡り
  • 強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行若しくは競売又は公租公課の滞納処分を受けたとき
  • 破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始又は外国倒産処理手続の承認の申立てがあったとき
  • 事業に係る許認可等について監督官庁から取消し、停止等の処分を受けたとき
  • 資本金の額の減少、合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受け又は会社の解散の決議をしたとき
  • 当事者間の信頼閧係が著しく損なわれたとき

   など


請負契約書には契約金額に応じた収入印紙が必要


課税文書である請負契約書には、契約金額に応じて収入印紙を貼り付ける必要があります。
収入印紙は、契約書を作成する当事者が用意しましょう。
他方で、委任契約書と準委任契約書は非課税文書に該当するため、原則収入印紙の貼り付けは必要ありません。
請負契約書に貼り付ける必要がある収入印紙の金額は、下記の通りです。

請負契約書には契約金額に応じた収入印紙が必要

参照:国税庁『印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで』
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm


請負契約書の無料テンプレート・雛形なら、契約大臣にお任せ!


仕事を外部へ委託する際には、あらゆるトラブルを回避するために請負契約書を作成しておくと安心です。
成果物や支払いなどの項目はなるべく細かく記載し、双方が気持ちよく仕事できる状況を整えておきましょう。

電子契約システム「契約大臣」では、請負契約向けの下記契約書のテンプレート(雛形)を提供しています。

  • コンサルティング契約書(請負型)
  • 業務委託契約(成功報酬)


その他にも、さまざまな契約書のテンプレートをご用意しています。
電子署名法や電子帳簿保存法に準拠していて、セキュリティ対策も万全です。
紙の契約書では必要不可欠だった、郵送代や収入印紙が不要なことも大きな特徴。
不明点があればメールや電話でサポートしているので、電子契約システムが初めてという方でも安心してお使いいただけます。
ぜひ当社のデモンストレーションで、リーズナブルな価格帯で利用できる、わかりやすい画面操作の電子契約システムを体験してみてください。

 


かんたん・低価格・法律準拠の電子契約システム『契約大臣』


電子契約をはじめたい方へ

「電子契約ってどうやるの?」「導入したいけど、何を準備すればいいかわからない」
これから電子契約をはじめる企業や事業者の方におすすめの記事をご紹介します。

電子契約のやり方を解説!電子契約システムの運営会社TeraDoxが自社例を公開

契約大臣を無料でお試し登録 契約大臣を無料でお試し登録 電子契約システムの契約大臣サービスTOPへ
契約大臣で電子契約を始める