業務を委託する「委任契約」とは?間違えやすい準委任・請負契約との違い

更新: 2022-11-30 18:52

委任契約は、有償契約と呼ばれ、法律行為を委託することが特徴の契約の一種です。この記事では、準委任契約、請負契約、業務委託、雇用契約との違いをわかりやすく解説します。あわせて、委任契約を締結する際の注意点も説明します。

  • 目次

外部の専門家と契約するなどのケースでは、「委任契約」「準委任契約」「請負契約」などさまざまな契約があり、どの契約が適切なのかで悩むことは決して珍しくありません。

この記事では、委任契約について詳しく解説します。
さらに、準委任契約や請負契約、業務委託契約、雇用契約などとの違いについてもご紹介するので、参考にしてください。

委任契約とは?


まずは委任契約についての概要や、準委任契約などとの違いについてご紹介します。

委任契約の概要

委任契約は、「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」ことであると、民法643条で定義されています。
委任契約では、「法律行為」を委託することが特徴です。
たとえば、下記のような行為が「法律行為」となります。

  • 確定申告の手続きを税理士に依頼する
  • 相続関連の手続きを司法書士などに依頼する
  • 訴訟にあたり、弁護士をつける


これらは業務を遂行してもらう代わりに報酬を支払うことが一般的で、「有償契約」と呼ばれることもあります。
上記のような「委任契約」の場合は有償契約とするケースが一般的です。

一方、誰かにおつかいを頼み、相手がそれを承諾すれば、これも委任契約となります。
物を売ったり買ったりすることは「売買契約」となり、法律行為になるためです。
このような場合には報酬が支払われない「無償契約」が一般的で、委任契約は本来この無償契約が基本となっています。
そのため、有償契約をする際には、別途で契約で報酬等を定めておく必要があります。

委任契約では「業務の遂行」が主な目的となり、その成果については問われません。
また、成果物がなくても業務が遂行されていれば、契約違反にはなりません。

委任契約の概要

委任契約と準委任契約の違い

準委任契約は、民法上では委任契約と同じルールが適用されます
大きな違いは、業務内容が「法律行為ではない事務の委託」であるという点です。

委任契約では法律行為を委託しますが、準委任契約では法律行為以外のあらゆるものが対象になります。
たとえば研究や講演、宣伝業務なども、準委任契約に当たります。
法律行為ではない事務は「事実行為」や「事務処理」とされることもあり、広い意味で使われているのがわかるでしょう。
準委任契約には、業務時間や業務量に応じた報酬が支払われる「履行割合型」と、成果物の納品を以って報酬が支払われる「成果完成型」があります。

委任契約と請負契約の違い

請負契約では、受任者が仕事を完成させる責任を負います。
委任契約のように業務を遂行するだけでは報酬は発生せず、仕事の完成が契約のゴールです。

委任契約と業務委託の違い

業務委託は、直接に定めた民法の規定はありませんが、「委任契約」に近いもの、「請負契約」の近いもの等、業務委託の内容は多岐にわたります。
仕事を依頼・請負う関係が成立する場合に、幅広く「業務委託」を用います。
業務の遂行を業務を委託したいのであれば委任契約の性質に近いもの、仕事の完成を目的に業務を委託するのならば請負契約の性質に近いものをそれぞれ規定して契約書を締結します。

委任契約と雇用契約の違い

一方が他方の労働に従事し、これに対して報酬を支払うことを「雇用契約」と呼びます。
委任契約は両者の立場が対等であるのに対し、雇用契約では使用者と労働者という主従関係が成立します。
労働者は使用者からの指示を受けて業務をこなすことになり、労務に対しての裁量は決して広くありません。
雇用契約を締結する際には、労働基準法や労働契約法が適用されることも特徴です。

委任契約と雇用契約の違い

委任契約書に盛り込むべき内容


委任契約を締結する際には、委任契約書を締結します。
委任契約書には決まったフォーマットがあるわけではありませんが、トラブル回避のためにも盛り込んでおきたい内容があるので、ご紹介します。

業務内容について

委任する業務の内容について、詳しく記載します。
おおまかな内容ではなく具体的で詳細な業務内容を記しておくことで、双方の認識のズレを少なくすることが可能です。
また、ここに記載した業務をすべて履行して、初めて報酬の支払いができるということを明確化する目的もあります。
あわせて、「業務の目的」について規定しておくことも大切です。

報酬について

委託する業務をすべて履行した際に、支払う報酬について明記します。
必要に応じて、算定方式なども明記しておくと安心です。
また、末締め翌月25日など、報酬の支払い時期についても規定します。
委任契約では、通常は業務の遂行が目的であり仕事の完成が必須ではないことから、特に、支払い条件については細かく決めておくと安心です。

諸経費について

業務を進めるにあたり必要となった諸経費について、誰が負担するのかを定めます。
後々トラブルに発展させないために、あらかじめどこまでを誰が負担するのか、どこまでを「経費」とするのかを明確にしておきます。

損害賠償について

契約するどちらかの不正や違反行為により、損害賠償を請求するケースがあります。
このような万が一の事態に備え、契約書にも必ず損害賠償についての項目を入れておきましょう。
損害賠償になるケースや対象となる範囲について、明確に記載します。

知的財産権について

業務を遂行する過程において、著作権などの知的財産権が発生する場合の項目です。
知的財産権は、委託者と受託者どちらに帰属するのかを記します。

委任契約書に盛り込むべき内容

委任契約を締結する際の注意点


委任契約を締結する際には、「秘密保持に関する契約も交わして情報漏洩リスクを下げる」「委任契約が継続的となる場合は収入印紙が必要になる」の2つに注意しましょう。

秘密保持に関する契約も交わして情報漏洩リスクを下げる

委任契約で業務を委託するケースでは、自社の社外秘情報を相手に開示することも珍しくありません。
この社外秘情報が社外に出回ってしまっては、自社の損害につながる事態になるリスクが出てきます。
これを防ぐために、委任契約締結時は、あわせて秘密保持に関する契約も交わしておくのが効果的です。

秘密保持に関する契約には、社外秘情報を漏洩しない、万が一漏洩が発覚した際には損害賠償を請求するなどの内容を記載しておきます。
委任契約書の一項目として記載しても問題ありませんが、詳細に記したい場合は別途で秘密保持契約書を締結するのもおすすめです。

委任契約を締結する際の注意点:秘密保持に関する契約も交わして情報漏洩リスクを下げる

委任契約が継続的となる場合は収入印紙が必要になる

委任契約書には、基本的に収入印紙の貼り付けが必要ありません。
ただし、3ヶ月を超えての継続的な委任契約となる場合には、課税対象になるため収入印紙が必要です。
課税対象となる委任契約書を作成する際には、一律で4,000円分の収入印紙が必要です。
この収入印紙代は、委託者と受託者で半分ずつ負担するのが一般的です。

電子契約は「契約大臣」がおすすめ!


委任契約では、法律行為を委託することが特徴です。
「業務の遂行」が主な目的であり、仕事が完成するかどうかは問われないこともポイントとなります。
後々のトラブルを防ぐためにも、委任契約は口約束ではなく紙面で締結するのが望ましいといえるでしょう。

契約の締結は、電子契約システムの利用がおすすめです。
電子契約システム「契約大臣」は、簡単に契約書の作成から締結までを行うことができます。
郵送や返送といった手間がかからずスピーディーに締結が完了するため、委託者・受託者ともに業務負担を減らすことができるでしょう。
また、準委任契約や請負契約などで使われる業務委託契約書など、よく使われる契約書のテンプレートも使うことができます。
トラブルのないスムーズな契約をめざすなら、ぜひ「契約大臣」をご検討ください。

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