【分かりやすく解説】フリーランス保護新法(フリーランス新法)とは?対象・内容を理解しよう!

更新: 2024-10-24 14:13

フリーランス保護新法の概要や対象者、義務や罰則について詳しくご紹介します。フリーランス保護新法を順守するために重要な「契約書」についても解説します。

  • 目次

2024年11月から施行される、「フリーランス保護新法」。フリーランスと取引がある企業なら、フリーランス保護新法の内容をしっかり把握しておかなければなりません。

ここでは、フリーランス保護新法の概要や対象者、義務や罰則について詳しくご紹介します。フリーランス保護新法を順守するために重要な「契約書」についても解説するので、ぜひお役立てください。

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フリーランス保護新法とは?施行はいつから?



まずは、フリーランス保護新法とはどのような法律なのか、その概要や制定の背景、施行時期について見てみましょう。

概要

フリーランス保護新法の正式名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)です。2023年4月に可決・成立・公布された法律で、目的は「フリーランスでも安心して働ける環境を整備すること」です。

この目的のため、フリーランス保護新法では以下2つを大きな柱として掲げています。

  • フリーランスと発注側企業間での取引を適正化する
  • フリーランスの就業環境を整備する


このうち、「取引の適正化」については公正取引委員会と中小企業庁が、「就業環境の整備」については厚生労働省が担当します。

制定の背景

フリーランス保護新法が制定されたのは、働き方の多様化が進み、フリーランスで働く人が多くなったためです。「プライベートの時間を大切にするため、」「自分らしく働くため」などの理由でフリーランスを選ぶ人も多いですが、中には育児や介護などがある関係で、フリーランスでしか働けないケースもあります。

しかし、フリーランスは発注側である企業に比べると立場が弱くなりやすく、適切な取引ができないケースも少なくありません。雇用契約ではなく業務委託契約を締結するフリーランスは、労働基準法の対象にならないためです。そのため、トラブルが発生することも多くありました。

発注が突然キャンセルされた
報酬が期日までに支払われない

上記をはじめとしたトラブルが発生すると、フリーランスにとっては死活問題になることもあります。このようなトラブルを避け、フリーランスでも働きやすい環境を整備するために、フリーランス保護新法は制定されました。

施行時期

フリーランス保護新法は、2024年11月1日に施行されます。この日からは、法律を順守してフリーランスとの取引を進めなければなりません。


参照:【厚生労働省】フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

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フリーランス保護新法と独占禁止法・下請法・労働法との違い

フリーランス保護新法を理解するためには、ほか関連する法律との違いや関係性も知っておかなければなりません。

フリーランス新法と他法律の違い


上記のように、それぞれで目的や対象が異なります。独占禁止法は企業とフリーランスにおけるすべての取引に適用されますが、資本金1,000万円超の企業がフリーランスと取引する際には、下請法も適用されます。

また、フリーランスは基本的に法律上の「労働者」の範囲外となりますが、勤務の実態などから「労働者」と判断できる場合は労働法が適用される点にも注意が必要です。

フリーランスとの取引では、フリーランス保護新法だけでなく、独占禁止法や該当するほかの法律も理解しておきましょう。

フリーランスガイドラインとは?

フリーランスガイドラインは、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が正式名称です。2021年3月に策定され、企業とフリーランスの取引に関して、関連する下記3つの法律との関係を明確にしています。

  • 独占禁止法
  • 下請法
  • 労働法


フリーランス保護新法だけでなく関連法律も順守するために、フリーランスガイドラインもチェックしておくと安心です。


参照:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン

フリーランス保護新法の対象者

フリーランス保護新法の対象となるのは、業務を委託する事業者と「特定受託事業者」の取引です。ポイントは、下記2つが挙げられます。

  • 特定受託事業者:個人のフリーランスで、従業員がいないこと
  • BtoBの業務委託取引であること


フリーランスとして仕事をするすべての人が対象となるフリーランス保護新法ですが、「従業員」がいる場合は対象外となる点に注意が必要です。この場合の「従業員」は、週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる場合が該当します。

つまり、所定労働時間が20時間未満かつ31日未満にて人を雇っている場合は「従業員」の要件を満たさないため「特定受託事業者」として、フリーランス保護新法の対象になる仕組みです。

また、フリーランス保護新法の対象は「BtoBの業務委託取引」のみです。発注側である企業とフリーランスの業務委託取引のみが対象となるため、フリーランスと消費者との取引は適用外となります。

なお、BtoBの業務委託取引であっても、特定受託事業者同士の取引は、フリーランス保護新法の対象外です。もちろん、販売などで売買取引を行う場合も、フリーランス保護新法の対象にはなりません。

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フリーランス保護新法の内容【発注事業者の義務7つ】



フリーランス保護新法では、発注事業者が守るべき7つの義務を明示しています。

  • 書面などによる「取引条件の明示」
  • 報酬支払い期日を設定し期日内に支払いをする
  • 7つの禁止行為をしない
  • 募集情報は的確に表示する
  • 育児や介護などと業務の両立へ配慮する
  • ハラスメント対策に関して体制を整備する
  • 中途解除する場合は事前に予告し理由を開示する


それぞれの内容も、詳しく理解しておきましょう。

義務1:書面などによる「取引条件の明示」

フリーランスへ業務委託をする際は、書面やメールなどにおいて、取引条件を明示しなければなりません。明示すべき条件は、下記9つについてです。

  • 給付の内容
  • 報酬額
  • 支払い期日
  • 業務委託事業者(フリーランス)の名称
  • 業務委託する日付
  • 給付を受領する日・役務の提供を受ける日
  • 給付を受領する場所・役務の提供を受ける場所
  • 検査をする場合は、検査完了日
  • 現金以外の方法で報酬を支払う場合は、報酬の支払い方法に関して必要な内容


参照:https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/


取引条件は、口頭での明示は認められていません。書面か、メールなどの電磁的方法、どちらの方法でも問題ないので必ず明示しましょう。

義務2:報酬支払い期日を設定し期日内に支払いをする

発注事業者は、フリーランスに発注した品物や成果物などを受け取った日から数えて60日以内の、できる限り早いタイミングで報酬を支払わなければなりません。また、一度決めた支払い期日までに、必ず支払うよう義務付けられています。

例外として認められているのは、フリーランスへの発注が再委託だった場合です。元々発注事業者が委託されていた業務をフリーランスへ再委託する場合、規定された条件を満たしていれば、元委託業務の支払い期日から30日以内のできる限り早いタイミングでの報酬支払いが可能です。

義務3:7つの禁止行為をしない

1ヶ月以上に渡る業務をフリーランスへ委託する場合は、下記7つの行為が禁止されています。

  • 発注した品物や成果物などの受領を拒否する
  • あらかじめ定めてあった報酬を減額減額する
  • 受領した物品を返品する
  • 市場価格より著しく低い価格を不当に定める「買いたたき」
  • 物品や役務を強制的に購入させたり利用させたりする
  • 不当に金銭や労務の提供させる
  • 費用を負担せず不当に注文内容を変更したり、受領後に不当なやり直しをさせたりする


上記のように、フリーランスにとって不利益となる行為は禁止されています。

義務4:募集情報は的確に表示する

業務を委託するフリーランスを募集する際には、正確で最新の情報を掲載する義務があります。虚偽情報を掲載したり誤解を生じさせる可能性がある情報を表示することがないよう、注意しましょう。

  • 意図的に、報酬額を実際よりも高く表示する
  • 企業名を変えて表示する
  • 募集を終了している情報を掲載し続ける
  • 掲載情報は一例であるにも関わらず、その旨を記載しない


このようなケースは、フリーランス保護新法違反になるので覚えておきましょう。

義務5:育児や介護などと業務の両立へ配慮する

6ヶ月以上の業務をフリーランスへ委託している場合には、育児や介護などと業務が両立できるように配慮する必要があります。

  • 妊娠や出産による体調不良や健診による就業時間の調整や短縮
  • 育児や介護による勤務時間の調整


フリーランス側から上記のような申し出があった場合は、業務と両立できるように配慮しなければなりません。委託している業務が6ヶ月未満の場合は義務ではないものの、できるだけ配慮に努める必要があります。

義務6:ハラスメント対策に関して体制を整備する

労働基準法で守られている労働者と同様に、ハラスメント対策を講じてフリーランスを守ることも義務のひとつです。委託事業者は、ハラスメントがないよう自社スタッフへの研修を実施したり、相談窓口を設けたりなどの体制を整備しなければなりません。

  • ハラスメントを禁止する旨を方針として明確化する
  • 相談に対して適切な対応ができる体制を整備する
  • ハラスメント発生時に、迅速で適切な対応ができる環境を整える


このように、フリーランス側から相談があった際に、適切な対応ができる体制を整える必要があります。

義務7:中途解除する場合は事前に予告し理由を開示する

「必要なくなったから」「もう仕事がないから」などの理由であっても、6ヶ月以上の業務を委託している場合は事前予告なしの中途解除は禁止です。中途解除するなら、少なくとも解除予定の30日前までには解除告知をしなければなりません。また、解除だけでなく更新しない場合も同様です。

解除や不更新の事前告知は、以下いずれかの方法で行います。

  • 書面
  • FAX
  • 電子メールなど


なお、事前告知から契約満了までの期間で、フリーランス側から解除や不更新の理由を問われた場合は、遅滞なく理由を開示する必要があります。

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注意!フリーランス保護新法に違反すると罰則がある

ご紹介してきた義務を怠りフリーランス保護新法に違反した場合、発注事業者は行政による調査を受けなければなりません。そのうえで、指導や必要な処置をするよう勧告を受けます。

この勧告に従わないと、命令を受けたり企業名を公表されたりするので注意が必要です。さらに命令違反や検査拒否があった場合は、50万円以下の罰金が科されます。

この罰則は、違反した者だけでなく、発注事業者である法人そのものにも科されることになるので、十分注意しなければなりません。企業の信用を落とさないためにも、違反がないよう努める必要があります。

フリーランス保護新法を順守!取引で「契約書」を作る重要性


フリーランスとの取引では、明示義務がある項目を含めて必要な内容をまとめ、あらかじめ契約を締結しておくことが大切です。

明示義務がある項目はそこまで多くないため、「契約書を作成するまでもない」との考え方もあるかもしれません。しかし、契約を締結するということは、「双方が契約内容を確認して承諾した」ことの証明になります。そのため、書面やメールで事前に連絡していたにも関わらず、フリーランス側から「届いていない」「見ていない」などと言われるようなトラブルも発生しません。

このように、契約書を作成することにより、発注事業者とフリーランスの認識を事前にすり合わせ、トラブルを予防しながら業務をスムーズに進められます。

書類作成の手間はかかってしまいますが、発注事業者とフリーランス双方を守り、気持ちよく業務を進めるためには、事前の契約締結がベストです。

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フリーランスとの契約締結には、「契約大臣」の利用がおすすめです。シンプルで使いやすい操作性でリーズナブルな価格帯で利用できる契約大臣なら、契約書を簡単に作成できます。「業務委託契約書」や「発注書 兼 発注請書」のサンプルもご用意しているので、初めて契約書を作る場合でも安心です。

また、電子契約なので印刷や郵送にかかるコストも削減でき、コスパが良い点もメリットです。無料で利用できる「フリープラン」もご用意していますので、ぜひお試しください。

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まとめ

フリーランスの方が働きやすい環境を整備するための「フリーランス保護新法」に対応するためには、7つの義務をふまえて、発注事業者側が必要な対策を講じなければなりません。その対策のひとつとして、契約書を交わしておくことも検討してみると良いでしょう。

契約は書面でも締結できますが、電子契約なら作成や修正も簡単で、タイムラグなしにすぐ締結できます。書面と同等の法的根拠を証明できるので、電子契約「契約大臣」の導入を、ぜひご検討ください。

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