コンサルティング契約に必要な契約書は?作成ポイントと無料の雛形が使えるサービスを紹介

更新: 2023-07-10 18:54

専門家として企業に助言を行うコンサルティング業務。多くは外部の企業や人間と、コンサルティング契約を結ぶことが多いようです。目に見えない成果物を扱うことも多いため、契約書に盛り込むべき内容などはしっかり抑えましょう。

  • 目次

コンサルティング契約は、専門的な知識等に基づく指導、助言、ノウハウの提供等を行うことに関する契約です。一般的な物の売買契約などとは違い「目に見えないサービス」について取り決めをする場合が多い契約です。
コンサルティング内容は多種多様であり、依頼主と受託者の間で、具体的にどのようなコンサルティングをお願いするのか、提供されるサービスや成果等を特定しておかないと、トラブルとなることが多い   契約ですので、適切な契約を交わすことが重要になります。
この記事では、コンサルティング契約をめぐるトラブルを防ぐために、契約書を作る際の注意点等をご紹介します。
無料の雛形が利用できるサービスについても解説するので、ぜひ役立ててください。


(事前確認)そのサービスがコンサルティングに当てはまるか


経営や戦略、事業など幅広い分野で活躍する、コンサルタント。
コンサルタントが専門的な知識等に基づく指導、助言、ノウハウの提供等を行うのが、コンサルティング業務です。
たとえば新規事業を検討する際や経営を立て直す際など、自社だけでは解決しきれない課題がある場合に専門家にコンサルティングを依頼するケースが多くなっています。

しかし、コンサルティングと一口にいっても、その内容は非常に多岐に渡ります。
そこで、まずは現在契約を進めているサービスが「コンサルティング業務」に当たるのかどうかを検証してみましょう。
コンサルティングに当たるのであれば、コンサルティング契約書を作成して業務内容を明確に定めておくことが大切です。


コンサルティング契約と顧問契約


コンサルティング契約は、戦略や事業など、特定の専門分野に対する業務が対象となることが多いです。
コンサルタントは、専門的知識をもって、ピンポイントで問題を解決してくれる存在といえるでしょう。
プロジェクト単位で契約する場合もあり、専門的な知識が必要な時にスポットで依頼できることも特徴です。

顧問契約は、会長や役員経験者が就任する内部顧問と、税理士や弁護士など外部の専門家との間で締結される外部顧問等といったものがあります。これらの契約書では顧問契約という名称を使うことが多いです。
コンサルティングと顧問契約とは明確な区別があるわけではなく、顧問契約もいわゆるコンサルティング契約の一種といえます。



「準委任契約」か「請負契約」か

コンサルティング契約の法的性質については、具体的な内容が様々ですので、一義的に確定することは難しいですが、一定の業務の遂行をするものとして「準委任契約」と捉えることが多いです。もっとも、コンサルティング契約の中で、例えば特定の調査を依頼し、その調査結果を書面等にまとめて完成したレポートや報告書を引き渡す等といった業務の場合には「請負契約」としての性質も有することになります。

「準委任契約」とは、仕事の完成ではなく、一定の業務の遂行を目的とする契約です。

これに対して「請負契約」とは、仕事の完成が契約条件です。

助言などのコンサルティングだけでなく、何らかの成果物の完成・引き渡し等が含まれる場合には、請負契約としての性質を有するケースも出てきます。
請負契約は、一般的に業務が完成した時点で、はじめて報酬が発生することが特徴です。

業務を委託する「委任契約」とは?間違えやすい準委任・請負契約との違い


コンサルティング契約に必要な契約書は?


コンサルティング契約を結ぶ際には、「コンサルティング契約書」と「秘密保持契約書(NDA)」を用意するのが一般的です。

コンサルティング契約書

コンサルティング契約書には、コンサルティング業務の内容や報酬についての取り決めを明記します。
こうして業務や報酬についてあらかじめ取り決めて書面にしておくことで、双方の認識のズレをなくすことができます。
また、製造委託や役務提供委託などの下請法が適用される場合は、契約書の取り交わしが必須です。
下請法が適用されない場合であっても、投資などの特定の業界では、コンサルティング契約書の作成が義務となる場合があるので注意しましょう。

コンサルティング契約書の作成は義務ではないケースがあるものの、どのような場合でも作成しておくことでトラブルを防ぎやすくなります。


秘密保持契約書(NDA)

業務遂行に当たり知り得た情報を第三者に開示しないことを取り決めるのが、秘密保持契約書(NDA)です。
秘密保持契約書があれば、情報漏洩のリスクを下げることができます。

なかには、クライアントから、別途で秘密保持契約書の作成を求められるケースもあります。
そのようなケースでなければ、コンサルティング契約書の中に秘密保持についての内容を記載しても問題ありません。

関連リンク
秘密保持契約書(NDA)とは?書き方について解説【無料の雛形が使えるサービス紹介あり】




コンサルティング契約書の書き方


トラブルを防ぐために、コンサルティング契約書の内容は事前にしっかりと作りこんでおくことが大切です。
ここでは、一般的にコンサルティング契約書で定められる項目について解説します。


・契約当事者の氏名、企業名、所在地
契約する当事者の情報は、必ず記載しましょう。
誰と誰が交わした契約なのかが明確でなければ、契約書の効力が発揮できない場合もあります。
法人でも個人でも、必ず契約当事者の氏名、所在地を記載し、法人ならば企業名も記載します。


・コンサルティング業務の内容・目的・範囲
何に関するコンサルティングを、どんな目的で行うのかを明記します。
ポイントは、業務の範囲を定めて「業務外となる範囲」も明確にしておくことです。
この部分を明確に定めておくことで、トラブルを防ぎやすくなります。


・業務の遂行方法
目に見えないサービスとなるコンサルティングでは、業務の遂行方法も様々です。
口頭でアドバイスすることもコンサルティングになる場合がありますが、遂行方法の認識にズレがあるとトラブルに発展しやすくなります。
そこで、口頭での質疑応答やレポート作成など、何をもって業務遂行とするのかを明確にしておくことが大切です。


・成果物の定義(請負契約の性質がある場合)
請負契約の場合は、成果物が納品されて、はじめて報酬が発生します。
そこで、成果物についての定義も定めておく必要があります。
レポートや報告書の作成などをもって成果物とするなど、明文化しておきましょう。


・報酬金額、支払方法
報酬金額と支払方法は、必ず記載しなければなりません。
報酬の計算方法のほか、着手金や必要経費、振込手数料などについても明記します。
月額固定報酬制やタイムチャージ性、プロジェクト方式などの支払い方法などについても記載しましょう。


・支払時期
報酬の支払い時期についても、細かく記載する必要があります。
期日だけでなく、一括払いなのか分割払いなのかについても取り決めて明記しておきましょう。


・契約期間
いつまでの契約とするのかを、ここで定めます。
期間が明記できない場合は、「〇週間前の通知により契約を終了できる」などと明記しても問題ありません。
加えて、業務が思うように進まなかった場合に備え、期限の変更について記載しておくと安心です。
契約の更新が見込まれる場合は、自動更新なのかどうかについても記載しておきましょう。


・知的財産権の帰属
報告書や成果物を作成する場合、知的財産権の帰属についての明記も重要です。
報告書や成果物についてはクライアントに帰属、それ以外についてはコンサルタントに帰属すると取り決める契約書が多くなっています。
また、クライアントに著作権を帰属させる場合には、「著作者人格権を行使しない」と記載するなどの対策も忘れないようにしましょう。
コンサルタントの名を記載して作成した成果物の社外公表は控えるなどといった内容も、場合によっては必要です。


・秘密保持条項
コンサルティングを受けるに当たり開示することになる社外秘情報の漏洩を防ぐために、必要な項目です。
特に、別途で秘密保持契約書を作成しない場合には、必ず明記しておきましょう。


・競業避止義務
コンサルティング業務を遂行していく中で得られたノウハウなどを、コンサルタントが競合他社へ漏洩してしまうことは、コンサルティングを受ける企業としては是非とも避けたい状況です。
また、競合他社にも同じようなアドバイスをされてしまうと、せっかくコンサルティングを受けても効果が出にくくなってしまうこともあります。
そこで、競業避止義務を定めます。
時間や場所的な範囲を制限するなどといったケースもあります。


・再委託の可否
再委託とは、コンサルタントが第三者に対してコンサルティングを委託することです。
コンサルティング契約は、コンサルタント個人のスキルやクライアントの事業状況に依存するため、再委託を禁止する場合も多いですが、業務内容によっては、第三者へ再委託を認め、責任は契約したコンサルタントが取るというケースもあります。


・権利義務
一般的に、権利義務は譲渡禁止とするケースがほとんどです。
コンサルティング契約は、コンサルタント個人のスキルやクライアントの事業状況に依存するためです。


・契約解除の条件
万が一契約違反などがあった場合に備え、コンサルティング契約を解除するための条件も盛り込んでおきましょう。
また、破産や支払い不能な状況になる万が一の場合も想定して明記しておくと、双方が安心して業務に取り組みやすくなります。


・損害賠償
契約不履行や、損害が認められた場合、損害賠償を求める内容を明記します。
明記がなくても損害賠償請求は可能ですが、あらためてコンサルティング契約書に明記しておくことで、トラブルが発生するリスクを下げることができます。


・反社会的勢力の排除
「暴排条項」とも呼ばれるこの条項は、反社会的勢力と関与しないことを明記する条項です。
反社会的勢力ではないこと、または関与がないことの表明と保証、さらには、万が一これらに該当する場合には契約を解除することも明記します。


コンサルティング契約書に収入印紙は必要?


準委任契約でのコンサルティング契約書は印紙税法で納税が義務付けられている課税文書ではないため、基本的に収入印紙を貼り付ける必要はありません。
ただし、契約書に「請負」の要素が含まれる場合は、印紙を貼り付ける必要があります。
そのため、契約が請負の場合は収入印紙が義務付けられていることに留意しましょう。
請負契約で収入印紙が必要な場合、印紙の金額は契約金額によって変わることにも注意が必要です。



契約大臣は収入印紙不要、無料で使えるコンサルティング契約書の雛形あり


目に見えないサービスを取り扱うコンサルティングでは、契約書を作成しておくことがトラブル回避の大きな策となります。
事前に業務内容などを細かく取り決め、万が一の場合にも対応できるようなコンサルティング契約書を作成しましょう。

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※この記事は2022年5月時点の情報を基に執筆し、2023年7月に更新されています。

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