贈与契約書に貼る収入印紙はいくら?契約書の書き方とあわせて解説

更新: 2023-07-07 15:20

贈与の証拠として作成する契約書のことを「贈与契約書」と言います。本記事では、「贈与契約書」を作成する際の印紙税の要・不要をはじめ、贈与契約書作成時のポイントなどを分かりやすく解説していきます。

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相続税対策として、生前贈与を検討している方も珍しくはありません。
贈与は口頭のみでも成立しますが、公平に行うためにも「贈与契約書」を作成しておくことが大切です。

本記事では、「贈与契約書」を作成する際の印紙税の要・不要をはじめ、贈与契約書作成時のポイントなどを分かりやすく解説していきます。
贈与契約を行う予定のある方は、ぜひ参考にしてみてください。


「贈与契約書」とは?


自分の財産を無償で相手へ譲渡することを「贈与」と言います。法律上、書面などを作成せず口約束のみで贈与は成立しますが、証拠が残らないため後々さまざまなトラブルに発展する可能性は否定できません。

そのような時、贈与の証拠として作成する契約書のことを「贈与契約書」と言います。
贈与契約書は主に生前贈与と死因贈与の際に用いられることが多いですが、自分の財産を贈与する相手が決まっているのであれば、事前にしっかり書面として残しておくことで、いざという時にスムーズに対応することができます。
また、税務調査が入った際にも証拠として提出することができるため、財産を受け取る側も安心です。

なお、財産を与える人のことは『贈与者』、受け取る人のことは『受贈者』と言います。


「贈与契約書」で収入印紙の貼り付けが必要になるケースとは?


「贈与契約書」を作成する場合、財産の内容によって収入印紙の貼り付けが必要になるケースと不要なケースの2通りがあります。
ここからは、贈与契約書作成時に収入印紙が必要なケースについて、具体例を交えながら解説していきます。


贈与の目的物が不動産や無体財産権の場合

贈与の目的物が不動産や無体財産権の場合

土地や建物などの「不動産」の贈与時に作成する贈与契約書には、一律200円の収入印紙を貼り付ける必要があります。
しかし契約書に具体的な金額が記載されている場合には、贈与額に応じた収入印紙を貼り付けなければならないので注意しましょう。

収入印紙の金額については次項でも触れますが、契約書に具体的な金額の記載がない場合には、前記した通り200円の収入印紙を貼り付ければ問題ないということになります。
贈与契約書に正式なフォーマット等はありません。そのため、不動産贈与の契約書には贈与額を記載しないケースも多いです。

なお、不動産の他に「無体財産権」「鉱業権」「船舶」「航空機」を贈与する場合も、同様に収入印紙の貼り付けが必要になります。


「負担付贈与」の契約書を交わした場合

受贈者が、何らかの債務を負担することを条件にした贈与を「負担付贈与」と言います。
売買や交換と同様と見なされる「負担付贈与」の場合にも、収入印紙の貼り付けが必要になります。

「負担付贈与」とはそもそもどのようなケースを指すのか、具体例を以下にまとめました。

「負担付贈与」の一例

  • 住宅ローンが残っている親名義の家を贈与し、子が代わりにローンを支払っていくケース
  • 預貯金1000万円を受贈者に贈与する代わりに、贈与者の介護をお願いするケース
  • 土地を贈与する代わりに、その土地の一部を駐車場として贈与者が無償で利用するケース
  • 贈与者が受贈者に一部の財産を贈与する代わりに、受贈者にペットの面倒を見てもらうケース


このように、様々なケースが「負担付贈与」に該当します。

受贈者の負担が重い場合には、「贈与」ではなく「売買」もしくは「交換」と見なされるケースも少なくはありません。そのような場合は、「売買契約」や「交換契約」と同様の印紙税が適用されることになります。

収入印紙の金額については、次項で詳しくご説明していきます。


収入印紙の貼り付けが不要なケースもある

ここまで「収入印紙の貼り付けが必要なケース」について解説してきましたが、上記の内容以外で財産を贈与する場合には、基本的に収入印紙を貼り付ける必要はありません。

例えば、現金や有価証券を贈与した場合でも、金額に関わらず収入印紙は不要です。これは生前贈与だけでなく、死因贈与の場合にも同様のことが言えます。


贈与契約書に貼り付ける収入印紙の金額


前の項目でも触れたように、以下のような場合にはその金額に応じて印紙税額が変わります。

  1. 贈与契約書に「不動産の金額」が記載されていた場合
  2. 負担付贈与における受贈者の負担額が記載されていた場合


不動産贈与の場合に作成する契約書は「第1号の1文書(不動産の譲渡に関する契約書)」に該当します。契約金額に応じた印紙税額については、以下表をご参照ください。

なお、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成された契約書に記載された金額が10万円を超える場合には、軽減措置の対象となります。その場合の軽減税率は、規定に関わらず以下表の通りです。


参照:
(国税庁)No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm
(国税庁)No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm


収入印紙を購入できる場所

いくらの収入印紙が必要かによって、購入できる場所が異なります。
郵便局・法務局・市役所では、ほぼ全ての収入印紙を取り扱っています。高額な収入印紙が必要な場合には、これら3箇所のどこかで購入しましょう。

また、一般的に使用頻度の多い「200円」の収入印紙はコンビニでも販売されています。その他にも金券ショップや酒屋、インターネットなど様々な場所で購入することが可能です。
上記表を確認しながら、必要額に応じた収入印紙を購入しましょう。

関連リンク
収入印紙はコンビニで買える?買い方や取扱い金額は?


収入印紙代は「贈与する側」と「贈与を受ける側」のどちらが負担する?

一般的な契約書は「作成者」に納税の義務がありますが、贈与契約書の場合は贈与者と受贈者の両者が作成者となって2通作成し、それぞれ1通ずつ書類を保管するのが原則です。

そのため、どちらが印紙税を負担するのか明確な規定はありません。収入印紙の貼り付けが必要な贈与契約書を作成する際には、どちらが収入印紙代を負担するのかを事前に話し合っておくとスムーズな契約締結に繋がります。
どちらが負担しても法的な問題はありませんが、2通作成する場合にはそれぞれ1通分ずつ負担するのが一般的です。


収入印紙を貼り忘れると過怠税を徴収される

収入印紙を貼り付け忘れても、贈与契約書自体が無効になることはありません。
しかし、本来収入印紙が必要な契約書に貼り付けられていない場合には、過怠税を徴収されることになるため、注意が必要です。
さらに、収入印紙が貼られていても消印のないものは無効になってしまいます。収入印紙を貼り付けたら消印も忘れずに行いましょう。

収入印紙の貼り忘れや消印の押し忘れの場合、【本来貼り付けるべき金額+その2倍に相当する金額=合計3倍】もの過怠税が科せられることになります。
それらは税務調査の際に発覚するケースが多いので、税務署から指摘を受けた場合には速やかに支払う必要があります。




贈与契約書に記載する内容


そもそも、贈与契約書の作成は法律で義務付けられているというわけではないので、記載する内容についても厳密な決まりはありません。
しかし、証拠として残す以上は最低限の情報が記載されている必要があります。

ここからは、贈与契約書を作成する場合に記載するべき項目について解説します。


必ず記載するべき《6つの項目》

贈与契約書を作成する場合、以下の6つの項目は必ず記載しておきましょう。

  1. 誰が(贈与をする人の氏名や住所)
  2. 誰に(財産を受け取る人の氏名や住所)
  3. 何を(目的物の詳細な情報や金額、不動産の場合は住所等)
  4. いつ(贈与が実行される日)
  5. どうやって(贈与の方法)
  6. 贈与契約を締結した日付



2通作成し、双方が保管する

贈与契約書を作成する際には2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ署名・捺印をした上で双方が保管します。収入印紙も両方の契約書に貼り付けましょう。

また、受贈者が未成年の場合には、親権者の署名・捺印も必要です。


より証拠能力を高めたいなら「公正証書」にするという方法も

上記したように、贈与契約書は公的な書類ではありません。しかし、確実に贈与が行われたことを証明する大切な書類です。
特に大きな金額のやり取りが行われる場合には、直筆の署名と実印を用いることで信頼性が高まります。

しかしながら、私的に作成した書類は改ざんしやすいというデメリットもあるため、例えば税務調査が入った際に疑われてしまう可能性も否定できません。
より贈与契約書の証拠能力を高めたい場合には、公証役場で「公正証書」として確定日付を付与してもらうとよいでしょう。

「確定日付」とは、付与日の時点でその書類が確かに存在していたことを証明するものです。私的に作成された契約書などの場合、公証役場で「確定日付」の付与を受けることができます。
作成された原本は公証役場で保管されるため、何らかのトラブルがあった場合にも公文書として提出することが可能です。


贈与契約書のサンプル


贈与契約書作成時のポイントを踏まえ、「不動産を贈与する場合」「現金を贈与する場合」それぞれの雛形をご用意しました。贈与契約書を作成する際の参考にしてみてください。
適宜内容の変更は必要ですが、上記「6項目」を意識して当てはめましょう。

①不動産を贈与する場合


                                                            贈与契約書

贈与者〇〇〇(以下「甲」という)は、受贈者●●●(以下「乙」という)に下記条項において贈与契約を締結する。

【第1条】
甲の所有する下記の不動産(以下、「本件不動産」という)を、乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
          記
(土地)
・所在
・地番
・地目:宅地(田、畑、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地、学校用地、鉄道用地の全25種類)
・地積:○○○.○平米
・持ち分 ○分の○

【第2条】
甲は前条の定めにより贈与した本件不動産を令和×年××月××日までに乙に引き渡すこととする。

【第3条】
甲は、乙に対し、本契約締結後速やかに、乙に対して本件不動産の所有権移転登記手続を行うものとする。所有権移転登記手続に要する費用は○の負担とする。

本契約書の成立を証するため、本書を2通作成し、甲・乙双方が署名捺印の上、各自1通ずつ保有することとする。

令和×年××月××日
贈与者(甲)
住所:
氏名:

受贈者(乙)
住所:
氏名:

 

②現金を贈与する場合


                                                            贈与契約書

贈与者〇〇〇(以下「甲」という)と受贈者●●●(以下「乙」という)は、以下のとおり贈与契約を締結した。


第1条 甲は乙に対して下記の金員を贈与することを約し、乙はこれを承諾した。
          記
金5,000,000円

第2条 甲は、前条に定める金員を、○年〇月○日までに、乙が指定する銀行預金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

本契約書の成立を証するため、本書を2通作成し、甲・乙双方が署名捺印の上、各自1通ずつ保有することとする。

令和×年××月××日
贈与者(甲)
住所:
氏名:

受贈者(乙)
住所:
氏名:



贈与契約書も電子契約システムでの作成が可能


贈与契約書も他の契約書同様、電子契約システムを使用することが可能です。
ここからは、電子契約システムで贈与契約書を作成する際の特徴やメリットについて解説していきます。

贈与契約書も電子契約システムでの作成が可能

電子契約の特徴・メリット

贈与契約書に関わらず、紙の契約書でやり取りしていたものを電子契約に切り替えた際には、次のような多数のメリットが期待できます。

収入印紙の貼り付けが不要

最大のメリットとして挙げられるのが、電子契約書には収入印紙の貼り付けが不要ということです。

「直筆の署名がないと契約書としての効力が不安」と感じる方も多いかもしれません。電子契約書には、本人確認の上で署名する「電子署名」という機能が備わっているため、本人以外が署名することは難しくなっています。
要件を満たせば紙の契約書に行う署名と同様の効力があるので、安心して契約を交わすことが可能です。

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電子署名とは?仕組みやメリット、使い方をわかりやすく解説


契約書の改ざんを防ぐことができる

贈与契約書は私的に作成することができるため、日付や金額等を簡単に改ざんできてしまうというリスクが考えられます。
その点、電子システムで作成した契約書の多くは「タイムスタンプ」と呼ばれるものが付与され、これが電子文書に改ざんがあると検知する仕組みになっているため、改ざんのリスクを回避することが可能です。

オンラインでスムーズに契約が交わせる

さらに、直接顔を合わせたり契約書を郵送でやり取りする必要がないので、遠方の相手ともオンライン上でスムーズに契約を締結することができます。

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初心者でもわかる!電子契約書の作り方


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※この記事は2023年5月時点の情報を基に執筆されています。

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