売買契約書とは?書き方や収入印紙について見本(ひな形)付きで解説!

更新: 2023-07-07 15:24

売買契約書は、売買契約を取り交わす売主と買主とで締結します。この記事では、売買契約書の概要から書き方までを詳しくご紹介します。抜けのない契約書を作成するために、ぜひ参考にしてください。

  • 目次

売買契約を進めるにあたっては、売買契約書を締結することも多くあります。
しかし、初めて売買契約書を締結する場合、どのように作成すれば良いのかで困ってしまうこともあるでしょう。

この記事では、売買契約書の概要から書き方までを詳しくご紹介します。
抜けのない契約書を作成するために、ぜひ参考にしてください。


売買契約書とは?


売買契約書は、売買契約を取り交わす売主と買主とで締結します。
商品やサービスなどの売買において、どのような条件で取引を進めるのかを具体的にまとめた書類です。

売買契約書を作成する必要性

売買契約書の作成は義務ではなく、口頭のみでの売買契約でも成立します。
しかし、売買契約書を作成すると、さまざまなトラブルを防ぎやすくなります。

口頭のみでは「言った言わない」といった論争になりがちですが、事前に書面にしておけば論争を防ぐことが可能です。
また、売主と買主双方の認識をすり合わせることができるので、万が一トラブルが発生しても、そのリスクを最小限に抑えることもできます。
たとえば自然災害などの予測できない事態により損害が発生した場合でも、売買契約書で予めその旨の対策を定めておくことでトラブル防止につながります。


売買契約書の主な種類


売買契約書にはさまざまな種類があります。
その中から、代表的な下記の2つについてご紹介します。

①物品売買契約書


商品やサービスなどを売買する際に使用するのが、物品売買契約書です。
売主が商品やサービスを提供し、これに対して買主が代金を支払います。
売買の対象となる商品やサービスの名称や製造番号などを詳細に記し、当事者間の認識を統一してトラブルを防ぐための契約書です。

売買契約は企業同士だけでなく個人との取引でも活用され、その内容は当事者間で自由に決定できます。
ただし、民法や商法の規定と異なる内容を盛り込む場合には、その旨を契約書に明記しておく必要があります。


②不動産売買契約書


建物や土地、農地などを売買する際に締結するのが、不動産売買契約書です。
一般的な不動産売買契約書のほか、下記のものなどが挙げられます。

  • 土地建物売買契約書
  • 土地売買契約書
  • 建物売買契約書
  • 農地売買契約書
  • 区分所有建物売買契約書


不動産の売買では支払いが高額になるため、ほとんどのケースで契約書を作成します。
契約は、仲介役となる不動産会社が入ったうえで売主と買主との間で締結する場合が多いですが、中には不動産会社を入れずに売主が直接買主と締結することもあります。

売買契約書の主な種類


売買契約書を作成する方法


売買契約書を一通のみ作る場合

継続的ではなく、一回のみの売買となるケースでは、売買契約書は一通のみの作成となるのが通常です。
そのため売買契約書には取引に関して、様々な条項を盛り込む必要があります。

  • 商品やサービスの詳細
  • 納品時期
  • 代金の支払い時期・支払い方法


上記に加え、万が一自然災害などによるトラブルが発生した際の対応についても記載します。


売買基本契約書と売買の個別契約書の二通を作る場合

継続的な売買では、個別の売買に関する契約書だけでなく売買基本契約書も作成することがあります。
この二通の違いは、締結するタイミングと内容です。

売買基本契約書は最初の取引の前に締結し、これからの取引において共通する条項についてまとめます。
一方で売買の個別契約書は、売買基本契約書があることを前提に、個別の取引ごとに締結し、取引それぞれに特化した内容を記載します。
このように基本契約書と個別契約書の二通を使い分けることで、取引の頻度が高くても、詳細な売買契約書を都度作らなくても良くなることがメリットです。


売買契約書の書き方と記載事項【見本あり】


売買契約書の書き方に決まったルールはないため、当事者にとって必要な項目が含まれていれば問題ありません。
ただし、後々のトラブルを避けるために、下記の項目は記載しておくと良いでしょう。

売買契約書の書き方と記載事項【見本あり】


売買契約書の見本・ひな形

          売買基本契約書


株式会社 ○○○○ (以下「甲」という。)と○○○○ 株式会社(以下「乙」という。)は、甲乙間で取り扱う商品(以下「本件商品」という)の継続的売買に関し、基本的事項を定めるため、以下のとおり契約(以下「本契約」という)を締結する。


第1条(目的)
本契約は、個々の本件商品にかかる個別契約に共通する事項について定めるものであり、甲乙間で行なわれる売買すべてに適用される。


第2条(個別契約)
甲が乙に販売する本件商品の商品名、数量及び支払方法、引渡し方法その他の条件は、個別契約にて定める。
(1)個別契約は、甲が乙に注文書を書面または電磁的方法による記録で送付し、甲がこれに承諾する書面の送付または電磁的方法により承諾することで成立する。
(2)本契約書の内容と個別契約書の内容に相違が生ずる場合は、個別契約書の記載内容を優先するものとする。


第3条(発注)
(1)個別契約による発注は、甲が納入を希望する日の  日以上前までに注文書を、第2条第1項で定めた方法により乙に送付して行う。
(2)前項の注文書には、発行年月日、注文者名、商品名、単価、数量、納入期日、納入場所、納入方法等を記載する。


第4条(引渡し)
乙から甲への本件商品の引渡しは、第3条の注文書で甲が指定の納入期日までに、甲が指定の納入場所に、本件商品が納入されたときをもって完了する。なお、納入にかかる費用は乙の負担とする。


第5条(検 品)
乙は、個別契約に定める方法により本件商品を乙に引渡すものとし、甲は、本件商品到着後、7営業日以内に検収を行い、本件商品の種類、品質、数量等を確認しなければならない。
(1)甲は、検収時に不合格品を発見した場合は、速やかに甲に通知する。
(2)乙は、甲から検収期間以内に前項による連絡がないときは、甲は本件商品が検収、納品されたものとみなす。
(3)乙は、検収不合格品を、甲が通知した日から10日以内に引取らなければならない。この際に発生する費用は乙の負担とする。
(4)前項に定める期間までに乙の引取りがない場合、甲は、検収不合格品を乙に返送することができる。この際に発生する費用は乙の負担とする。


第6条(契約不適合責任)
納品完了後、本件商品について個別契約に定める内容との不一致(以下「契約不適合」という。)が発見された場合、甲は乙に対して本件商品の修補、代替品との交換、不足品の納入、又は代金の減額を請求することができる。ただし、乙が契約不適合責任を負うのは、納品完了後3か月以内に甲から請求された場合に限るものとする。


第7条(商品の返品等)
乙が甲に売り渡した本件商品について、それが注文商品と明らかに異なるか、もしくは製造上の不良品または輸送による破損の場合を除き、返品はできないものとする。
ただし、特別な事情があると乙が認めた場合はこの限りではない。


第8条(支払方法)
(1)乙は、毎月末日を注文締日とし、当月1日から末日までに甲の発注を受けて納入した本件商品の代金を集計のうえ、翌月  日までに、甲に請求書を送付する。
(2)甲は、毎月  日(当日が土日祝日の場合は直前の平日)までに、乙の下記指定口座に振り込み、本件商品の代金を支払う。振込手数料は甲の負担とする。

銀行名  ◯◯◯銀行 ◯◯支店
口座種別 普通
口座番号 XXXXXXX
名義   株式会社◯◯◯◯

(3)甲が、前項の請求書を受領した日を起算日として  日以内に、乙に対し何ら異議を申し立てないときは、請求内容を了承したものとみなす。


第9条(遅延損害金)
甲は、乙が支払期日までに、本件商品の代金を支払わなかった場合、乙に対し、支払期日の翌日から支払のあった日までの日数に応じた、年率14.6%相当の金額を遅延損害金として請求できるものとする。


第10条(所有権の移転)
本件商品の所有権は、甲から乙への本件商品の代金の支払いが完了したときに移転する。


第11条(危険負担)
本件商品の引渡し前に生じた本件商品の一部または全部が滅失、毀損その他一切の損害は、甲の責めに帰すべき場合を除き、乙の負担とする。本件商品の引渡し後に生じたそれらの損害は、乙の責めに帰すべき場合を除き、甲の負担とする。


第12条(契約の終了)
本契約の契約期間は、20XX年 XX月 XX日 から1年間とする。ただし、契約期間満了の1ヶ月前までに、甲乙いずれか一方、または双方より契約解除の申し入れが書面または電磁的記録によって通知されない場合、本契約はさらに1年間自動的に継続し、以後も同様とする。


第13条(秘密保持等)
甲および乙は、本契約によって知り得た相手方の秘密情報について、別途協議し、その取扱いに関する契約書を作成する。


第14条(解除事由)
甲及び乙は、相手方が次の各号のいずれか一つにでも該当した場合は、相手方に通知することなく本契約および個別契約を直ちに解除することができる。
(1)本契約または個別契約に違反し、是正勧告から  日を経過しても解消されないとき
(2) 営業許可の取消、停止等の処分を受けたとき
(3) 差押え、仮差押え、仮処分、租税滞納処分、その他公権力の処分を受けたとき
(4) 会社更生手続および民事再生手続の開始または破産申し立てが行われたとき
(5) 破産もしくは競売を申し立てられたとき
(6) 支払停止、支払不能、手形、小切手が不渡りになったとき
(7)相手方の信用を毀損した、または毀損するおそれがあるとき
(8)その他前各号に準ずる信用の悪化と認められる事実が発生したとき


第15条(損害賠償)
甲および乙は、相手方の契約違反により損害が生じた場合、相当因果関係の範囲内で損害を賠償するものとする。


第16条(協 議)
本契約に定めのない事項、または本契約各条項の解釈について疑義が生じたときは、甲乙で協議し、円満解決に努めるものとする。


第17条(合意管轄)
甲および乙は、本契約に関して紛争が生じた場合には、○○○○裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。


本契約成立の証として、本書を作成し、甲乙双方が署名捺印の上、各自1通ずつ保管する。
 

20XX 年  XX 月 XX 日

(甲)
住所:○○県○○市
会社名:○○○株式会社
氏名:○○ ○○

(乙)
住所:○○県○○市
会社名:○○○株式会社
氏名:○○ ○○




売買契約書の今後の課題


売買契約書における課題として挙げられるのは、締結までの時間が長くかかりがちであることではないでしょうか。
これは売買契約書に限った課題ではありませんが、契約書を作り内容を確認し、上長に承認をもらい相手企業からの合意をもらうだけでも、時間がかかるものです。
さらにこれを印刷して署名捺印し、相手企業へ郵送して署名捺印の上返送してもらうとなると、締結までの時間がかなりかかってしまうことも珍しくありません。
こうして締結までに時間がかかってしまえば実際の取引がスタートするタイミングも遅くなってしまうため、この時間をいかに短縮できるかが今後の課題です。

売買契約書の今後の課題


売買契約書に収入印紙は必要か?


売買契約書には、収入印紙が必要な場合と不要な場合があります。
それぞれどのようなケースなのかについて、ここでご紹介します。

売買契約書に収入印紙が必要になる場合


課税文書に該当する売買契約書のうち、第1号文書に該当するものには収入印紙が必要です。

  • 不動産売買契約書
  • 鉱業権の譲渡に関する契約書
  • 船舶の譲渡に関する契約書
  • 航空機の譲渡に関する契約書
  • 無体財産権の譲渡に関する契約書
  • 営業の譲渡に関する契約書
  • 貸借権の譲渡に関する契約書
  • 地上権の譲渡に関する契約書


上記は、記載の契約金額に応じた収入印紙を貼り付けなければなりません。

また、売買基本契約書などの、継続的な契約を前提とした契約は第7号文書で課税対象となるため、一通あたり4,000円の収入印紙が必要です。
この場合の「継続的な契約」は、取引期間が3ヶ月を超え、更新の規定があるものとなります。


売買契約書に収入印紙が不要な場合

収入印紙が必要なケースで紹介した第1号文書に該当していても、記載の契約金額が1万円未満の場合は非課税となり収入印紙は不要です。
また、電子契約で締結した場合、課税文書に該当していても収入印紙は必要ありません。
印紙税の対象となるのは紙の契約書のみであり、電子データのみでやり取りする電子契約は対象外となるためです。


売買契約書の作成には電子契約システムの活用がおすすめ


売買契約書を作成するなら、電子契約システムを使うのがおすすめです。
電子契約であれば収入印紙が不要なだけでなく印刷代や郵送代などの費用も必要ないため、コストを削減できるためです。
また、パソコン上ですべての手続きが完結することから、契約書作成から締結までの時間を短くすることも可能です。


電子契約システムなら契約大臣


電子契約システム「契約大臣」の魅力は、月々2,200円(税込)からと手頃な価格で安全に電子契約を締結できることです。
電子契約書の有効性を担保する認定タイムスタンプが全プラン標準仕様となっていて、証拠力が高い電子署名を利用することも可能です。
印刷代や郵送代、収入印紙代ももちろんかからないうえ、初めての方でも使いやすいように配慮された操作性も特徴です。

また、電子取引のデータ保存に準拠した「書類保管機能」をオプションで備えています。
さまざまな契約書を電子化することができるので、この機会にぜひ「契約大臣」の導入をご検討ください。

契約大臣


まとめ


さまざまな種類がある売買契約書ですが、どれも後々のトラブルを防ぐために重要な役割を果たします。
当事者間で内容についてはよく話し合い、さまざまな項目について記載したうえで、抜け漏れがない契約書を作成しましょう。
電子契約システムを活用して締結までの時間を短縮しつつ、コスト削減を目指してみてはいかがでしょうか。


※この記事は2023年5月時点の情報を基に執筆されています。

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