契約書の保管期間は、内容によって異なります。また、保管期間開始日となる起算日も契約書によって違いがあるので、保管期間の年数と起算日は必ず確認するようにしましょう。この記事では、契約書や関連書類の保管期間や保管方法について解説します。
契約書や関連する書類は法律により保管期間が定められています。しかし、書類ごとに保管期間が違うため、管理に戸惑うことも多いのではないでしょうか。
この記事では、契約書や関連書類の保管期間や保管方法について解説します。
契約書の保管期間は、内容によって異なります。
また、保管期間開始日となる起算日も契約書によって違いがあるので、保管期間の年数と起算日は必ず確認するようにしましょう。
まずは、契約書の保管期間について解説します。
■産業廃棄物処理の委託契約書
起算日:契約終了日
産業廃棄物の排出業者が、産業廃棄物を処分しないで都道府県や政令指定都市から許可された処理業者に処分を依頼する場合には、適正な契約を結ばないといけません。
その時に取り交わすのが、産業廃棄物処理の委託契約書になります。
■取引に関する契約書
起算日:各事業年度の申告書提出期限の翌日
一般的な法人の取引に関する契約書の保管期間は7年です。
これは、法人税法施行規則第59条1項・2項に記載されています。
■確定申告時に青色申告書を提出している法人の取引に関する契約書や書類
起算日:確定申告書の提出期限の翌日
法人税法では、法人の取引による契約書の保管期間は7年です。
ただし、以下のような場合は保管期間が10年(平成30年4月1日以前に開始した事業年度に関する書類の保管は9年)になります。
※1 欠損金額とは、その事業年度の所得がマイナス、つまり赤字になること
※2 青色繰越欠損金とは、過年度の損失(赤字)を累計しておき、所得が発生したときに損失を相殺すること。
結果として黒字となった年度の所得を減らせるため、支払う税金の額が減少する
※3 災害損失欠損金額とは、法人が称する棚卸資産や固定資産などが災害をうけ発生した損失の額に達するまでの金額のこと
■建築業者の営業に関する図書
起算日:目的物の引き渡し日
建築業者の営業に関する図書とは、建築の営業に関する書類のことを指します。
該当するのは以下の3点です。
図書の保管は元請業者が行います。
■効力が持続している契約書
効力が持続している契約書は、万一紛争等になった場合、裁判での資料とすることもありますので、内容を確かめたり変更があったりした場合でも対応できるように、永久保管が望ましいとされます。
その契約が終了したら、法人法などに基づいた年数をさらに保管し、保管期間終了後に破棄しましょう。
契約書の保管期間と同様に、契約書以外の書類の保管期間も内容によって異なります。
起算日も書類ごとに設定されているので確認が必要です。
種類が多いため覚えるのが大変ですが、こちらに書類ごとの保管期間・起算日をまとめましたので参考にしてください。
■健康保険・厚生年金保険に関する書類
起算日:対象者の退職や解雇・死亡の日
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)届」など、従業員の健康保険や厚生年金保険の資格取得等に関する書類が該当します。
■労災保険に関する書類
起算日:請求が完結した日や徴収・納付の日付
労働関係に関する書類(雇用契約書・解雇通知書など)は、従業員が退職や死亡した日から3年間保管するようにしましょう。
また、労災保険の請求や徴収・納付した場合はそれらが完結した日から3年間の保管が必要です。
■派遣元管理台帳
起算日:派遣契約終了日
派遣元管理台帳は、派遣元が派遣した従業員の終了に関してトラブルが起きた場合に用いる書類で、「労働者派遣法37条」にて作成が義務づけられている書類です。
■雇用保険の被保険者に関する書類
起算日:被保険者がその事業所に在籍しなくなった日付
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書などが該当します。
■株式会社の事業報告(本店据置分)
起算日:定時株主総会の日の1週間前(取締役会を設置している会社の場合は2週間前)
定時株主総会にて、事業年度の会社の事業内容や状況を株主に報告する書類を株式会社の事業報告書といいます。
この書類は、会社法により作成が義務づけられています。
■有価証券届出書や報告書
起算日:提出日
有価証券届出書は、有価証券の募集や売り出しの際に、金融商品取引法に基づいて内閣総理大臣への提出が義務づけられている書類です。
また、有価証券報告書は決算後の企業状況をまとめた書類で、こちらも金融商品取引法で定められています。
■見積書・注文書・請書・請求書などの取引の記録になる書類
起算日:その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日
見積書や注文書などの取引に関わる契約書以外の書類の保管期間は7年です。
ただし、前述の取引に関わる契約書の保管期間と同様、青色申告書を提出している場合は、保管期間が10年になることがあるので気をつけましょう。
■株主総会議事録
起算日:株主総会の日
株主総会で決議した内容を記載した書類を株主総会議事録といいます。
株主総会議事録は、株主や債権者からの閲覧請求や登記申請など、さまざまな場面で必要になります。必ず記録するようにしましょう。
■株式会社の会計帳簿および事業に関する重要書類
起算日:帳簿閉鎖の日
総勘定元帳・仕訳帳・売上帳など、会計帳簿や事業に関する重要書類は会社法により10年間の保管が必要です。法人税法では保管期間が7年ですが、期間を間違えないようにしましょう。
■建築士事務所の業務に関する図書
起算日:図書を作成した日
建築士事務所の業務に関する図書は以下のものが該当します。
建築士事務所の業務に関する図書は、以前は5年保管でした。
しかし、2005年11月に発生した構造計算書偽装による耐震偽装事件の再発防止のため、2007年6月20日以降、保管期間が5年から15年に大幅延長されました。
上記の書類は、書類の保管期間は法律で義務づけられていません。しかし、書類の性質上永久保管が望ましいとされます。
契約書の保管にはさまざまな方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
メリット・デメリットを比較して、社内に適した方法で保管するようにしましょう。
契約書を紙で作成し保管するメリット・デメリットを比較します。
ペーパーレス化が進んできた近年ですが、やはり紙の契約書は膨大な量を保管している企業様が多いのではないでしょうか。
メリット・デメリットを比較して、場合によってはペーパーレス化を検討してみてください。
紙の契約書をスキャンして保管する最大のメリットは、契約書の管理が楽になることではないでしょうか。
対して、最大のデメリットはPDF化の手間が考えられます。
その他のメリット・デメリットに関してもまとめました。
契約書をマイクロフィルムで保管するメリット・デメリットをまとめました。
マイクロフィルムは、書類や画像データをごく小さいサイズに縮小してからフィルムに記録する媒体のことを指します。
長期保管が可能ですが、マイクロフィルムの内容を見るには、専用の機器が必要になります。
また、マイクロフィルムに保管したデータは、印刷して内容を確かめることも可能です。
契約書を電子データで保管する最大のメリットは、物理的な保管スペースの必要がないことでしょう。
その分、データの流出などには十分な注意が必要です。
電子データで受け取った契約書は、電子データで保管することが義務づけられています。
しかし、2023年12月末までは、データで保管が難しい場合に限り、プリントアウトして保管可能です。
近年電子契約の普及率は大きく伸びているため、電子データで契約書を保管する機会も増えることでしょう。
参考:電子帳簿保存法の対応準備できていますか?システム要件や対象書類を解説
保管期間内に契約書を破棄した場合と、保管期間を過ぎても破棄しなかった場合にどのようなことが起こるのか、詳しく解説します。
契約書を破棄するタイミングを誤った場合、リスクがあるだけでなく罰則が科せられる場合もあります。そのため、保管期間は起算日も含めて確認し、間違いのないように保管することが必要です。
保管期間内に破棄した場合、故意でなくても罰則(法人税の追徴課税)が科せられる可能性があります。
保管期間中の契約書は、期限がいつまでか確認したうえで保管しましょう。
その際には、セキュリティの高い、災害など物理的な被害からの対策が取られているスペースで保管するのが良いでしょう。
書類を処分するタイミングは一般的に定められていませんが、例外があります。
それはマイナンバーが記載された書類で、保管期間が過ぎたら速やかに処分しなければならないと内閣府により定められています。
マイナンバーの記載が必要な書類には、このようなものがあります。
また、保管期間の過ぎた契約書をそのままにしておくと、契約書がどんどん増え管理が難しくなり、情報漏洩のリスクが上がります。
個人情報などが記載されている契約書を紛失してしまった場合には、たとえ契約期間が終了していても、信用問題になりかねません。
契約書などの書類は、保管期間が過ぎたらすぐに、そして確実に処分しましょう。
処分の仕方は、シュレッダーの使用や専門業者によって書類を溶かしてもらう方法があります。
保管期間終了後の、書類を処分するタイミングについては特に決まりはありません。
年度末など、あらかじめ日程を決めて処分するのがよいでしょう。
電子契約サービスは、作成や締結をした電子契約書をクラウド上で一元管理できます。
また、データをサービスが利用しているサーバー上に保管するので、使用している電子契約サービスのセキュリティ面(物理的・システム面)を事前に確認しましょう。
電子契約書は紙で保管しないので、保管スペースや紙代・インク代などのコスト削減にも繋がります。
また、紙の契約書を探す際に発生する以下のようなデメリットも解決できます。
クラウド上に保管される電子契約書は検索性に優れているため、取引先名や契約書名などのキーワード、契約期間などから簡単に契約書を探すことが可能です。
利用している電子契約サービスに紙の書類を電子データ化したものを保存する機能があれば、電子契約書と同様に一元管理できます。
クラウド上にある契約書は、外出先やリモートワークをしているときでも、システムにアクセスできれば時間や場所にとらわれずに書類の閲覧が可能です。
コスト削減・作業効率アップのためにも、電子契約サービス導入を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、電子契約書やPDF化した契約書を正しく保存するためには、電子帳簿保存法に対応している必要があります。
【2022年1月改正】電子帳簿保存法の電子データ保存要件を徹底解説
データ化した書類や、受領した電子契約書などの保存は「契約大臣」がおすすめです。
なぜなら、契約大臣のシステムは電子帳簿保存法に準拠しているからです。
電子契約機能は操作が簡単で、初めて電子契約書を作成する場合でもすぐに契約書が作成できます。
取引先はPCやスマホからオンライン上で契約書を確認し、即時締結できるので、契約までのスピードアップに繋がります。
料金も2,200円(税込)/月〜とリーズナブルに利用でき、郵送代や収入印紙代も不要なため金銭的なコストも大幅に削減可能です。
0円〜試せる「お試しフリープラン」もあります。
また、書類保管機能を使用すると、スキャナで取り込んだ紙の書類のPDFファイル(スキャナ保存書類)をアップロードするだけで保管できます。
メールなどで受け取った電子契約書(電子取引書類)などもアップロード可能です。
書類保管機能はオプションになりますが、業界最安値レベルの『保管数500件まで5,500円/月〜』で利用できるのが最大のメリットです。
書類保管機能は10件まで無料で利用できるので、まずは、便利な機能を試してみてはいかがでしょうか。
契約書の保管期間は5年・7年・10年・永久保存があります。
また、契約書以外の書類の保管期間は3年〜永久保存まであります。
書類によって保管期間の起算日が異なるので、保存期間のほかに起算日も確認しましょう。
契約書の保管方法は、紙・スキャンしてデータ化・マイクロフィルム・電子データとあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
また、電子データの書類はそのまま電子データで保存されます。
紙の契約書をスキャンして保管するのならクラウド上などで保管できるサービスを利用するのが便利です。
契約大臣なら低コストでスキャン・データ化して契約書の保存・管理が可能になります。
お試しプランもあるので、興味のある方は一度契約大臣を試してみてください。
>契約大臣のプラン料金・機能などはこちら