誓約書の書き方を解説!作成時のポイントと注意点まとめ【テンプレート紹介あり】

更新: 2023-02-14 12:39

相手に対して、「約束を守る」という意思を明確に示すために作成される書類のことを「誓約書」と言います。今回は、「誓約書」とはどのようなものなのかを解説するとともに、法的効力や書き方テンプレートなども併せてご紹介していきます。

  • 目次

ビジネスシーンだけでなく、個人間で取り交わすこともある「誓約書」。
皆さんは、誓約書の正しい意味や、どのようなシーンで使用される書類なのかをご存知でしょうか?

今回は、「誓約書」とはどのようなものなのかを解説するとともに、法的効力や書き方テンプレートなども併せてご紹介していきます。
実際に「誓約書」を扱う時に困らないよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。

誓約書とは?


相手に対して、「約束を守る」という意思を明確に示すために作成される書類のことを「誓約書」と言います。

例えば、AがBに「○○の約束を守ります」という旨の誓約書を作成・提示し、Bがそこに同意するとします。BがAに提示された誓約書に署名・捺印をして、Aに提出した時点で誓約が成立するという仕組みです。

「誓約書」が交わされる場合、書類作成者(この場合はA)は署名・捺印をする必要がなく、誓約書の内容を守る義務もありません。
誓約者(この場合はB)にのみ、書面に書かれている約束事を守る義務が生じます。

誓約書はこのような時に用いられる

このように、一方的な条件で提示されるケースが多い「誓約書」ですが、実際にはどのような場面で用いられるのものなのか、ご存知でしょうか?

誓約書が使用されるシーンとしては、次のようなものが挙げられます。

【1】「秘密保持」に関する誓約書

「秘密保持誓約書」は、業務上知り得た顧客の個人情報や企業機密など、外部に漏らしてはいけない内部情報の管理を徹底するために用いられる誓約書です。
この場合、書類作成者は企業、誓約者は従業員となります。

【2】「入社時」の誓約書

「入社時の誓約書」は、社内の規則や就業に関する規則など、入社する上で最低限守らなければならないルールなどが記載されている誓約書です。
ここには、「秘密保持誓約書」の一部内容も含まれます。

《このような内容を記載する》

  • 就業規則の遵守
  • 人事異動(転勤や出向)への同意
  • 守秘義務に関すること 


この場合も【1】同様、書類作成者は企業、誓約者は従業員です。

誓約書はこのような時に用いられる:【2】「入社時」の誓約書

【3】「退社時」の誓約書

「退社時の誓約書」も【1】の秘密保持と類似した内容になりますが、退社後に他社へ企業機密や顧客情報が漏洩されることを防ぐ目的で交わされる誓約書です。

退社時の誓約書の場合も【1】と【2】と同様で、書類作成者は企業、誓約者は従業員となります。

【4】夫婦・知人など個人間で交わされる誓約書

ここまではビジネスシーンで取り交わされる誓約書に関してご紹介してきましたが、以下の事例のような場合には、個人間で誓約書を交わすこともあります。

《個人間で誓約書が交わされる事例》

  • 夫婦のどちらか一方に不貞行為が発覚し、慰謝料などを請求するとき
  • 家族内の暴力やDVなどを抑制する目的
  • 知人間でお金の貸し借りをするとき
  • スポーツなどのイベント・大会に参加する際、万が一のことがあった場合への対処を記載


個人間で誓約書を交わす際、書類はどちらが作成しても構いませんが、約束を「守らせる側」と「守る側」という基本的な条件は変わりません。


誓約書の法的効力


「誓約書」に限ったことではなく「契約書」や「同意書」などを含め、もともと書面で約束を交わすことに法的な効力はありません。
しかし、大切な約束や取り決めを行う際、口約束だけでは行き違いや改ざんなどのトラブルを招く恐れがありますよね。

例え書類に法的効力がなかったとしても、署名捺印がされた書面で残しておくことで、万が一トラブルがあったときにも重要な証拠として提出することができます。

また、「当事者同士が合意したことの証明」と「内容の社会的妥当性」があれば誓約が有効となり、誓約書の内容に違反した場合には「損害賠償責任」が発生する可能性もあります。

誓約書の提出者には約束を守る義務が、作成者には約束を守らせるための権利が認められています。このようなことからも、「誓約書」を作成することには大きな意味があるのではないでしょうか。

誓約書が「無効」または「取消し」になる場合の事例

ただし次のような場合は、せっかく誓約書を作成しても無効または取消しになってしまうため、注意しておく必要があります。

誓約書が「無効」になるケース

  • 内容が明確ではない場合
  • 内容が合理的な範囲から逸脱している場合
  • 内容が公序良俗に反する場合
  • 内容が強行法規に違反する場合


誓約書が「取消し」になるケース

  • 無理やり誓約書に署名捺印させられた場合
  • 騙されて誓約書に署名捺印させられた場合
  • 相手が未成年者で、保護者(法定代理人)の同意がなかった場合


上記のようなケースでは、たとえ誓約が成立したとしても、後から無効または取消しをすることができます。
また、上記以外でも双方の合意があれば、一度取り交わした誓約書の項目を修正または変更することが可能です。

誓約書の法的効力:誓約書が「無効」または「取消し」になる場合の事例

「誓約書」と「契約書」の違い

これまで「誓約書」について解説してきましたが、「誓約書」と混同されやすい言葉として「契約書」が挙げられます。しかしこの2つは、全く異なるシーンで交わされる書面ということを念頭においておきましょう。

「誓約書」と「契約書」の違いを分かりやすく表にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。それぞれについての理解を深めておくと、いざという時に迷うことなく書類を作成することができますね。

誓約書と契約書の違い

「誓約書」と「念書」は同じ?

誓約書と同等の意味合いで使用される書類として「念書」が挙げられますが、これら2つには特別な違いはありません。
「誓約書」と「念書」のどちらも、当事者の一方に対して約束を求める目的で作成される書類です。

2つの書類に特別な定義などはありませんが、一般的に「誓約書」はビジネスシーンで、「念書」はプライベートなシーンで使用されることが多い傾向にあります。

誓約書と覚書の違いは?

覚書は、「契約書の内容を修正したいときや、新たな条件を加えて契約したいときに使用する書類のこと」を指します。
一定の要件を満たすことで、契約書と同様の法的効力を持つ書類となります。

関連リンク:覚書って?契約書との違いや作成方法について解説!


誓約書の正しい書き方

上記したように「誓約書」には法的な効力がないため、書き方についても明確な決まりはありません。

ここからは、基本的な誓約書の書き方や作成時の注意点について解説します。

書くべき項目

誓約書は基本的に、「相手に守ってもらいたい事柄」を記載するものです。
そのため、誓約書に書くべき項目は使用されるシーンによって異なるということを念頭においておく必要があります。

つまり誓約書は、「使用する目的」や「置かれた状況」に応じて、自由に書き方を変えられるということになります。
とは言え、「どのような書き方をすればよいのか分からない」という方も少なくはないでしょう。よく利用されるシーンに合わせた「誓約書テンプレート」については、次項で詳しく解説します。

誓約書に必ず記載する《6項目》

基本的な内容は自由ですが、どのような誓約書を作成する場合も、必要最低限の以下6項目は必ず記載しましょう。

  • どのような誓約書なのか表題(「秘密保持誓約書」「入社時の誓約書」など)
  • 誓約を交わした日付
  • 作成者名(会社の場合は会社名+代表者名も記載)
  • 誓約者名(個人名であることが多い)と住所
  • 誓約文書「下記の事項について誓約いたします」など
  • 誓約する内容(項目を分けて記載すると分かりやすい)


署名捺印について

誓約書の場合、法的な署名・捺印の義務はありませんが、誓約者直筆の署名と捺印があれば書類としての効力が格段にアップします。
また、誓約書の署名捺印は誓約者のみが行い、作成者の署名捺印は必要ありません。

誓約書作成時の注意点

上記したように、たとえ誓約が成立した場合でも、違反項目が見付かったときには誓約自体が無効または取消しになることがあります。
そのようなことを避けるためにも、無効や取消しになる内容が含まれていないかをしっかりとチェックした上で誓約書を作成する必要があります。

また、誓約内容が抽象的だと、万が一何かあった時に証拠能力が低くなってしまいます。
最悪の場合、裁判所などで証拠として認定してもらえない可能性もあるので、誓約内容は誰が見ても分かりやすいように具体的な内容で記載しましょう。

誓約書作成時の注意点


《目的別》誓約書のテンプレート!一般的な誓約書の文例をご紹介


一口に「誓約書」と言っても、使用されるシーンによって記載項目はさまざまです。
では、実際に誓約書を作成する場合、どのような項目を記載すればよいのでしょうか?
こちらでは、よく使用されるシーン別のテンプレートを含め、誓約書に書くべき項目などをご紹介します。

「秘密保持」の誓約書

秘密保持誓約書 … 「表題」

○○株式会社 …「会社名」
代表取締役 ○○ ○○○ 殿 …「代表者名」

この度、御社へ入社するにあたり(御社と○○に関して取引を行うにあたり 等、状況に合わせた言葉を記載)、以下の事項を誓約いたします。 …「誓約文書」

~以下「誓約内容」~
1.次の①から③の情報について、御社の許可なく外部に漏洩しないことを約束いたします。

① 取引先・顧客に関する情報
② 従業員に関する個人情報
③ 商品・製品の原価に関する情報
④ 商品・製品開発や作成方法に関する情報
⑤ その他、御社から知り得たすべての情報

2.在職中および退職後(取引中および取引終了後)にも秘密を遵守し、情報を漏洩しないことを約束いたします。
3.秘密情報を漏洩して御社に損害を与えた場合、責任をもって賠償いたします。

令和○○年○月○日…「誓約日」

誓約者
住所:○○県○○市○○○1-2-3
氏名:○○ ○○ (捺印)


「入社時」の誓約書

入社時誓約書 … 「表題」

○○株式会社 …「会社名」
代表取締役 ○○ ○○○ 殿 …「代表者名」

この度、御社に入社するにあたり、以下の事項を遵守することを誓約いたします。 …「誓約文書」

~以下「誓約内容」~
1.就業規則及び諸規程を遵守いたします。
2.勤務時間中は職務に専念いたします。
3.業務命令に従います。
4.転勤、配置転換、出向について、御社の辞令に従います。
5.業務上知り得た機密情報は、在職中・退職後を問わず第三者に漏洩いたしません。
6.御社の品位を保ち、御社の信用を毀損しないことをお約束いたします。
7.故意または重大な過失によって御社へ損害を与えた場合は、賠償責任を負います。

令和○○年○月○日…「誓約した日付」

誓約者
住所:○○県○○市○○○1-2-3
氏名:○○ ○○ (捺印)


「退社時」の誓約書

退職時誓約書 … 「表題」

○○株式会社 …「会社名」
代表取締役 ○○ ○○○ 殿 …「代表者名」

この度、御社を退職するにあたり、以下の事項を遵守することを誓約いたします。 …「誓約文書」

~以下「誓約内容」~
1.在職中、業務上知り得た機密情報について、どのような理由があっても第三者に開示・漏洩・使用はいたしません。
2.在職中に業務上入手、または自ら作成した一切の資料および営業秘密が記載されている媒体を、原本・コピーを問わずすべて御社に返還することをお約束いたします。また、自らは一切保有いたしません。
3.御社(グループ会社全体を含む)の従業員や役員、取引先などへ退職の勧誘や引抜き行為はいたしません。
4.本誓約書に違反して御社に損害を与えた場合は、賠償責任を負います。

令和○○年○月○日…「誓約した日付」

誓約者
住所:○○県○○市○○○1-2-3
氏名:○○ ○○ (捺印)


「個人間」で交わす誓約書


「離婚誓約書」の場合

離婚誓約書 … 「表題」

○○ ○○○ 殿 …「成約を受ける人の氏名」

この度、貴方と離婚するにあたり、以下の事項を遵守することを誓約いたします。 …「誓約文書」

~以下「誓約内容」~
1.慰謝料として金○○万円を、令和○年○月○○日までに全額支払います。(毎月○万円ずつ、分割で令和○年○月○○日まで支払います)
2.長女○○の養育費として、毎月○万円を満20歳になるまで支払います。
3.長女○○との面会交流(毎月○回)に関する連絡以外で、貴方と一切の接触を持たないことをお約束いたします。
4.本誓約書に違反した場合は、違約金として金○○万円を支払います。

令和○○年○月○日…「誓約した日付」

誓約者
住所:○○県○○市○○○1-2-3
氏名:○○ ○○ (捺印)


「支払い誓約書(債務確認書)」の場合

債務確認書 … 「表題」

○○ ○○○ 殿 …「成約を受ける人の氏名」

~以下「誓約内容」~
1.令和○年○月から令和○年○月までの間に、貴方から○回金銭を借り入れ、現在貴方に対して合計○○万円の支払い義務があることを認めます。
2.上記第1項の債務全額について、次の通り分割にてお支払いいたします。
「 令和○年○月から毎月○日に金○○万円ずつ」
3.上記第2項の分割払いが○回以上(合計○○万円)滞った場合には、期限の利益を喪失し、一括で請求されても異議を申し立てません。

令和○○年○月○日…「誓約した日付」

誓約者
住所:○○県○○市○○○1-2-3
氏名:○○ ○○ (捺印)




誓約書はケースバイケースで使い分けましょう


このように誓約書には、目的に応じて自由に項目を記載できるというメリットがあります。
記載する内容によっては法的な書面と同等の効力を発揮する場合もあるため、相手に遵守してほしい項目をしっかりと伝えられるよう、状況に応じた項目を記載することが大切です。
今回ご紹介したテンプレートを参考にしながら、誓約書を作成してみてくださいね。

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