消費貸借契約とは?使用貸借との違いや金銭消費貸借契約書の書き方を解説

更新: 2023-07-07 17:08

消費賃貸契約という言葉は聞いたことあるものの、使用賃貸など混同しやすい言葉もあるためその内容を知らない方もいるでしょう。この記事では消費賃貸契約とはどのようなものなのか、また、そのうちの金銭消費賃貸契約書の書き方についても解説します。

  • 目次

消費賃貸契約という言葉は聞いたことあるものの、その内容や書き方については知らないという人は少なくないでしょう。
使用賃貸など混同しやすい言葉もあるため、契約を結ぶ際には内容をしっかり理解しておくことが大切です。

この記事では、消費賃貸契約とはどのようなものなのかについて、わかりやすくご紹介します。
金銭消費賃貸契約書の書き方についても解説するので、参考にしてください。


消費貸借契約の概要


消費賃貸契約について、その基本となる情報をご紹介します。

消費貸借契約の意味

消費賃貸契約とは、消耗や消滅してしまうような物品を借り、後日借りた物品と同等の物を返還する契約です。
借りた物品そのものを返すのではなく、同等の物を返すという点が特徴です。


使用貸借との違い

使用賃貸とは、貸主が無償でものを貸し、借主は借りた物そのものを返す契約です。
同等のものではなく、借りた物品をそのまま返還する必要があります。
消費賃貸契約では借りた物品と同等の物を返す点が、使用賃貸との違いです。


金銭消費貸借契約とは?




消費賃貸契約でよく耳にするのが、「金銭消費賃貸契約」です。
この金銭消費賃貸契約について、ここから詳しくご紹介します。


金銭消費貸借契約の定義

金銭消費賃貸契約は、金銭の貸し借りに関する契約です。
借主は借りた金銭を消費することになりますが、後日同等の金銭を返還しなければなりません。
利息が設定されている場合は、利息も含めて返還する義務があります。
消費賃貸契約の中で、金銭に関するものを「金銭消費賃貸契約」と呼びます。


金銭消費貸借契約の要件

金銭消費賃貸契約が成立するためには、下記2つの要件を満たしている必要があります。

  • 借主が、貸主から金銭を受け取ること
  • 借主は、借りた金銭と同等の物を返還すること



金銭消費貸借契約書を結ぶ理由

金銭消費賃貸契約書を結ぶことで、借主には返還の義務が生じます。
金銭の貸し借りは契約書なしでも行うことができますが、その場合トラブルに発展してしまうことも珍しくありません。
契約書がなければ、金銭のやり取りがあったことを証明できないためです。
金銭のやり取りが不明確になってしまえば、全額が返還されない可能性も出てきます。
こうしたトラブルを避け、貸した金額すべてを返還してもらうために結ぶのが、金銭消費賃貸契約書です。


金銭消費貸借契約を結ぶ主なシーン

金銭を借り入れる際に金銭消費賃貸契約は、主に下記のシーンで締結します。

  • 人からお金を借りる、貸す
  • 奨学金を借りる
  • 住宅や車の購入でローンを組む
  • 銀行から融資を受ける


友人や親族などからの個人的な金銭の借り入れ以外に、住宅ローンを組んだり融資を受けたりする際にも、金銭消費賃貸契約を書面で交わすのが一般的です。


諾成的金銭消費貸借契約とは?


金銭消費賃貸契約では、金銭の受け取りを以って契約は効力を発揮します。
このように金銭などの「物」の受け取りが必須な契約を「要物契約」と呼びます。
これに対して諾成的金銭消費貸借契約は、金銭の受け取りがなくても当事者の合意があれば契約が成立するのが特徴です。

金銭消費賃貸契約と諾成的金銭消費貸借契約の違いは、契約が成立するタイミングにあります。
要物契約に分類される金銭消費賃貸契約は、借主が金銭を受け取った時点で契約が成立します。
一方の諾成的金銭消費貸借契約では、当事者同士が金銭のやり取りをすると承認した時点で契約が成立するのです。


金銭消費貸借契約における契約書と借用書の違い


個人的な金銭のやり取りでは、「借用書」を用いるケースも多いでしょう。
契約書と借用書については法律上での明確な定義こそないものの、一般的には作成部数や保管者に違いがあります。
契約書は、当事者の人数分作成して署名捺印し、それぞれが一部ずつ保管します。
これに対して借用書は、貸主宛に借主が作成し、貸主が保管します。
どちらも金銭のやり取りの証拠となる書類ですが、借用書に署名捺印を行うのは借主のみであることが特徴です。

関連リンク
借用書に効力ってあるの?金銭トラブルを防ぐ正しい書き方を解説


金銭消費貸借契約書の作り方




金銭消費賃貸契約は口頭でも成立しますが、金銭のやり取りとなるため契約書を締結しておいたほうが安心です。


金銭消費貸借契約書の書き方に決まりはない

金銭消費貸借契約書には、決まった書き方はありません。
見やすいようにまとめ、契約する当事者がわかりやすい内容であれば、問題はないとされています。
ただし、記載すべき項目などはあるので、抜けがないよう作成することが大切です。


記載すべき項目

金銭消費貸借契約書に記載すべき項目を、ここからご紹介します。

日付

金銭消費貸借契約書を作成した日付で、この日から契約書は効力を発揮することになります。

金銭消費貸借契約への合意

貸主は金銭を貸すこと、借主は金銭を借りて同等の物を返還することについて両者が合意したことを記載します。

金額

具体的に、いくらの金銭をやり取りするのかを明記します。

返済方法と返済期日

一括か分割かだけでなく、口座への振込か直接の手渡しかなど、返済の方法について具体的に記載します。
また、毎月25日など返済の期日や、振込の場合は振込手数料をどちらが負担するのかについても記しておきましょう。


利息

利息を設定する際には、その旨の記載をしなければなりません。
利息の計算方法についても、細かく取り決めておきましょう。
ただし、元本が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%など上限利率が定められているので、これを超えないように設定しなければなりません。

参照:(e-GOV法令検索)昭和二十九年法律第百号 利息制限法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000100

遅延損害金

支払い期日までに支払いがなかった場合、遅延損害金を請求できることを定める項目です。
利息と同様に上限があるため、上限を超えない範囲での設定が必須です。
元本が10万円未満ならば年29.2%、10万円以上100万円未満ならば年26.28%、100万円以上ならば年21.9%が上限利率です。
貸主が「営業的金銭消費賃貸」である場合は、20%が上限利率となります。

参照:(e-GOV法令検索)昭和二十九年法律第百号 利息制限法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000100

連帯保証

借主本人が返済できなくなった場合に返済を肩代わりするのが、連帯保証人です。
連帯保証人を立てる場合には、保証責務の限度額や保証債務の元本確定期日などを詳細に記しておきましょう。

相殺

借主だけでなく、貸主にも返還義務があり、双方の債務が弁済期にある場合には、これらを相殺することも可能です。

抵当権

借主が支払いをしなかった場合に備えて、不動産に抵当権を設定することもあるでしょう。
その場合には、抵当権についての詳細を記載します。

両者の氏名などの情報と署名捺印

契約書においては、当事者それぞれの情報と署名捺印が欠かせません
これにより、両者は契約に合意したことを証明することができるためです。
そのため、情報の記載と署名捺印は忘れずに行いましょう。


必要な額の収入印紙を貼る

金銭消費貸借契約書は課税文書第1号に分類されるため、やり取りする金額に応じて収入印紙を貼り付けなければなりません。


参照:国税庁(No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで)
https://www.nta.go.jp/

収入印紙を貼ったら、割印も忘れないようにします。
割印がないと印紙税を納めたことにはならないので注意しましょう。


金銭消費貸借契約は電子契約での締結も可能


金銭消費貸借契約は、電子契約でも締結することができます。
電子契約での締結ならば収入印紙が必要ないほか、契約書の作成から締結・保管までがすべてパソコン上で完結します。
締結までのタイムラグもなく対面せずとも契約ができることも、電子契約のメリットです。

ただし、契約書が改ざんされていないことの証明や、確実に本人が署名したことの証明などができるものでなければ、契約を安全に締結することができません。
そのため、法的根拠があり、堅牢なセキュリティを備えた電子契約システムを利用して、安全に金銭消費貸借契約書の締結を進めましょう。


金銭消費貸借契約も「契約大臣」!


金銭消費貸借契約書は、金銭を貸し借りする際に締結します。
必要な情報を漏れなく盛り込み、必要に応じて収入印紙を貼るなどして、法的な証拠力が高い金銭消費貸借契約書を作りましょう。

電子契約を利用するなら、「契約大臣」の利用がおすすめです。
契約大臣ならばより高い本人性を証明する二要素認証が利用でき、電子署名(事業者署名型電子署名)を用いて証拠力の高い契約書の作成が可能です。
また、電子署名法に準拠した契約を締結できるので、大切な金銭消費貸借契約書にも最適です。
月々2,020円(税込)からとリーズナブルな価格でご利用いただけるので、ぜひ導入をご検討ください。

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※この記事は2023年2月時点の情報を基に執筆されています。

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