「割印」とは、2部以上の書類に跨がるように判子を押すことを言います。「割印」の大事な役割とその目的についてご紹介します。 混同されやすい「契印」との違いについても解説します。
ビジネスシーンにおいて、「割印」という言葉をよく耳にしますが、どのようなシーンで使用されるものなのかをご存じでしょうか?
印鑑を使用する「〇〇印」という言葉が多い中、それぞれがどのような目的で使用され、どのような役割を果たしているのか、全て認識しているという方は意外と少ないものです。
今回は、「割印」の大事な役割とその目的についてご紹介します。
混同されやすい「契印」との違いについても解説しますので、この機会にそれぞれの印鑑の役割について理解を深め、ぜひ今後へ活かしてくださいね。
2部以上の書類に跨がるように判子を押すことを「割印」と言います。
例えば、「原本と写し」や「関連する書類」に跨がって印鑑を半分ずつ押す時に用いられることが多く、対の書類であることを示す役割を担います。
「割印」には、押印した書類を契約者同士が一部ずつ保管し、書類の改ざんや不正コピーを防ぐという目的があります。
割印を押した契約書を各自が保管し、印影を照らし合わせた時に、同一の契約書であることが証明されるという仕組みになっています。
つまり、複数で契約を交わす場合は、契約者全員分の契約書と割印の押印が必要ということです。
また、例外として、収入印紙に押す割印(消印)は代理人が押印しても同様の効果となることが、印紙税法施行令第5条により定められています。
割印自体には法的な効力はないため、基本的には改ざんや不正コピーへのリスク回避という目的で用いられることが多い方法です。
「割印」は主に、次のような時に用いられています。
では実際に割印を押す時には、どのような印鑑を選べば良いのでしょうか?
ここからは、「割印」として使用する印鑑の選び方や刻印・サイズの規定について解説します。
まず結論から申し上げると、割印に押す印鑑には特に規定などはありません。
基本的には、書類に捺印した印鑑と同じ印鑑を使用するケースが多いです。
つまり、契約書に「実印」を押した場合は割印にも「実印」を、「認印」を押した場合は割印にも「認印」を押します。
そもそも「割印」は、主に法人間の契約の際に用いられることが多い印鑑です。
個人間での契約時にはあまり使用する機会がないので、「大切な契約を任されるようになって初めて割印のことを知った」という方も多いのではないでしょうか。
そのため、刻印には法人名や会社名を入れるのが一般的です。
ただし、刻印内容に規定があるわけではないので、氏名や役職などが刻印された印鑑でも、もちろん割印できます。
割印に使う印鑑に特別な決まりはありませんが、中には法人向けの「割印専用印鑑」も販売されています。
割印専用の印鑑は縦長になっているため、書類が複数枚に及ぶ際に印影をきれいに残すことができますよ。
上記したように割印は法人名や会社名を刻印することが多いため、一般的な氏名のみが刻印された印鑑よりも文字数が多くなる傾向にあります。
割印の書体に特別な規定はありませんので、文字数とのバランスや書体のデザイン性に応じて好みのものを選ぶことができます。
割印に限らず印鑑は様々な書体から選ぶことができますが、特に文字数が多くなる「割印」は、以下のような書体で制作されることが多いです。
「割印専用印鑑」を取り扱っているお店によっても選べる書体が異なりますので、刻印する文字やデザインに応じてお好きなものを選びましょう。
一般的に販売されている「割印専用印鑑」は、刻印する文字数に応じて3サイズから選択できるようになっています。
割印のサイズ展開は次の通りです。
法人名や会社名を刻印するため、文字数だけでなく、漢字・ひらがな・カタカナとのバランスを考慮しながら適切なサイズを選ぶと良いでしょう。
ここからは、実際に割印を押す際のポイントや注意点についてお話していきます。
2部以上の書類に割印する場合は、重ねた書類を縦と横に少しずつズラし、書類に跨った状態で上部に割印を押します。
この時、契約書に「原本(正本)」と「控え(副本)」がある場合には、原本の方を上に、控えを下にするのが一般的です。
また、3枚以上の書類に同時に割印する場合も同様の手順で割印します。
書類の枚数が増えるときれいに割印できない可能性がありますので、全ての書類に割印が押されているか、必ず確認するようにしましょう。
この時、縦長の割印専用の印鑑であれば3枚に跨っての押印が可能ですが、一般的な丸型の印鑑の場合は長さが足りなくなってしまいます。
そのような場合には、全ての書類に押印されているよう、追加で数箇所に割印を押す必要があります。
また、契約者が複数名いる場合は全員分の割印が必要です。
領収書へ割印を押す場合には、切り離される部分に跨って押印します。
このような時は割印専用印鑑ではなく、社名が刻印された「角印」などを使用するケースが多いです。
書類に割印を押す時とは形式が異なるため、それぞれの違いを頭に入れておくとよいでしょう。
「割印」は通常の印鑑とは異なり、複数枚の書類に跨って押すため、書類同士に段差ができてきれいに押せないことも多いようです。
そこで、「割印をきれいに押すポイント」についてご紹介します。
「割印」を押す時に印影がかすれてしまうのは、書類同士の境界部分にできたわずかな段差が原因です。
印影がかすれてしまっては割印の効果を最大限発揮することができないため、書類の高さを揃えて押印する必要があります。
そのような時には、「捺印マット」を使って書類同士をフラットにして、割印を押しやすくするという方法がおすすめです。
冊子タイプの契約書の場合、何冊も重ねて割印を押すには厚みもあるので、なかなかきれいに割印を押せないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そのようなケースでは、1ページ目だけを開いて重ね、上部に割印を押せば、1枚ずつの書類同様にきれいな印影を残すことができますよ。
朱肉をつけすぎると、印影がぼやけてきれいに押印できないことがあります。
さらに、押印する時の力加減もポイントで、あまり強く押し付けると書類がズレてしまい、重ねた時に印影がぴったりと合致しないこともあるため、注意が必要です。
割印を押す時には、朱肉の量や力加減にも気を配ってみてくださいね。
これまで「割印」について解説しましたが、「割印」とよく似た言葉に「契印(けいいん・ちぎりいん)」というものがあります。
混同されることが多い「割印」と「契印」ですが、それぞれ役割が異なりますので、いざという時に迷わないためにも2つの違いをしっかりと理解しておきましょう。
「割印」がそれぞれの契約書の関連性を証明するために押印するのに対し、「契印」は契約書が複数枚に及んだ際に、ひとつの書類であることを示す場合に押印するものです。
「契印」には、後からページを抜き取られたり、ページごと差し替えられるのを防ぐ目的があります。
「割印」と「契印」それぞれの違いを分かりやすく表で比較してみました。
法律上で押印の決まりはありませんが、特に大事な契約の場合には、改ざんや不正コピー、書類の抜き取りなどを防ぐためにも「割印」や「契印」が頻繁に用いられています。
しかし、様々な契約がデジタル化しつつある昨今、電子契約システムにも注目が集まっているということをご存じでしょうか?
電子契約システム「契約大臣」は、オンライン上で契約書の作成から締結までが完了するため、割印や契印などの押印は一切必要ありません。
しかも、電子システムで自動管理されている契約書は、改ざんや不正にコピーされる心配もなく、割印がなくても安心して契約を結ぶことができます。
参考
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