「記名」と「署名」の違いは?正しい意味と使い分け

更新: 2022-10-14 12:33

書類に名前を記入することを「記名」といいます。記名の方法は特に問いません。「記名」と「署名」は似たような言葉ですが、その方法や法的効力に違いがあります。この記事では、「記名」「署名」・「押印」「捺印」の違いや、それぞれの法的効力について説明します。

  • 目次

「記名」と「署名」、「押印」と「捺印」という言葉は日常的によく使われていますが、どのように使い分ければいいのか知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「記名」「署名」・「押印」「捺印」の違いや、それぞれの法的効力について説明します。

「記名」と「署名」の違いは?


「記名」と「署名」は似たような言葉ですが、その方法や法的効力に違いがあります。
混同しがちな2つの言葉の特徴や法的効力について、次項より説明します。

「記名」とは

書類に名前を記入することを「記名」といいます。記名の方法は特に問いません。
例えば、PCで名前を打ち出しても、記名欄にスタンプを押したり他の人物が代筆したりしても、それらは全て「記名」になります。
「記名」は誰が書いたのか証明できないので、第三者が勝手に記名した場合は、それを証明するのが困難になります。

「署名」とは

本人が自分で氏名を書くことを「署名」といいます。手書きで書くことが必須です。
「署名」も「記名」の一つですが、契約書などの書類に名前を記入する際に自署でお願いしたい場合など区別するために、「署名」と「記名」を使い分けることがあります。
契約書に署名する際に、「サイン」「自筆」「手署」などの言葉が使われることもあります。

法的効力が認められるのは「署名」又は「押印(記名+押印)」

民事訴訟法第228条4項に「私文書は、本人またはその代理人の署名又は押印があるときは、申請に成立したものと推定する」と定められています。
契約などで法的効力が認められるのは「自分で署名をしたとき」または「押印(記名+押印)がある場合」です。
なお、「署名」は筆跡鑑定などで本人が書いたと立証できる余地がありますが、「記名+押印」の場合の記名は誰が書いたのかわからないため、立証という点では弱い面があります。
また、民事訴訟法228条4項では推定されると定められているものであり、署名があるからといって契約が完全に有効と認められるとは限りません。署名がある契約書でもその有効性を裁判で争う可能性があります。

また、公序良俗違反や消費者の利益を不当に害する内容などの場合、契約自体が無効になります。

法的効力が認められるのは「署名」又は「押印(記名+押印)」

「押印」と「捺印」の違いは?


「押印」も「捺印」も書類に印を押す行為は同じです。なぜ2つの意味があるかというと、語源の由来が違うからです。
「押印」と「捺印」について詳しく見ていきましょう。

「押印」について

「押印」の語源は「記名押印」からです。「記名」が略されて「押印」になっています。
押印は、書類に「記名」とともに印を押すときに使われることが多いです。

「捺印」について

「捺印」の語源は「署名捺印」からです。「署名」が略されて「捺印」になっています。
捺印は契約書などに自筆の署名とともに印を押すときに使われることが多いです。

署名捺印、署名のみ、記名押印、記名のみでは法的効力の強さが違う

先に述べた民事訴訟法第228条4項との関係で、署名、記名、押印等、は法的効力の強さが違うので注意が必要です。
法的効力の高い順に並べると以下のようになります。

  1. 署名+捺印
  2. 署名
  3. 記名+押印
  4. 記名のみ(法的効力はない)


「記名」は「押印」とあわせて初めて法的効力を持ちます。
また、「署名」のみと「記名+押印」は法律上の効力は同じですが、一般的には「署名」のみの方が法的効力は高く扱われます。
現状では信頼度の高さから、書類には「署名+捺印」を求められることが多いようです。

署名捺印、署名のみ、記名押印、記名のみでは法的効力の強さが違う

「記名押印」したいときの方法は?


書類に「記名押印」したいときの方法を紹介します。
それほど難しいことではありませんが、場所を間違えると訂正が必要になるので注意が必要です。

場所や方法を確認してから、記名・押印するようにしましょう。
 

書類に記名する方法

書類の末尾にある記名欄に自筆、または他の方法で記名しましょう。
自筆以外の記名方法は、会社のスタンプを押す、書類にパソコンなどであらかじめ氏名が記されている場合などが挙げられます。

書類に押印する方法

押印の場所は厳密には決まっていません。
丸印の場合は、記名に重ならないようにして押印しますが、角印の場合は、文字に重なるように押すのが一般的です。
両方使用する場合は、丸印は文字に重ならないように、角印は文字に重なるように押しましょう。

書類に修正・追記したいときの方法は?


契約書などの書類を修正・追記する時の方法を紹介します。
追記・修正には、修正ペンなどは利用できません。
元の文章を残したまま、印鑑を用いて修正・追記します。

書類を修正する方法

書類を修正する場合は、押印に使用した印鑑を用いて修正しましょう。
修正の方法は以下のとおりです。

  1. 修正箇所に二重線を引き、その上(縦書きの場合は右側)に正しい文字を記入する
  2. 修正箇所の近くに押印する
  3. 修正した内容を記入する(○文字削除・○文字追加)


書類に追記する方法

書類に追記する場合も、修正と同様に押印に用いた印鑑を使用します。
追記の方法は以下のとおりです。

  1. 追記したい箇所に「V」を書き、その上(縦書きの場合は右側)に追記文字を記入する
  2. 追記箇所の近くに押印する
  3. 追記した内容を記入する(○文字追加)


※書類を修正・追記する方法は以下の参考記事もあわせてご覧ください

参考:訂正印って?正しい押し方や作る際のポイント、電子契約における訂正についても解説!

書類に修正・追記したいときの方法は?

書類に記名するときのリスクや注意点は?


書類へは、安易に記名や押印をしないようにしましょう。
なぜなら、書類へ記名したことにより取り返しのつかないことになる場合があるからです。
こちらにリスクや注意点をまとめましたので、参考にしてください。

書類に記名するときのリスク

パソコンなどで氏名を記入するのみであれば、法的効力はありません。
「記名」は「押印」することで法的効力が発生します。

手書きで署名した場合、筆跡が本人のものと特定されれば意思表示をしたと認められます。
その場合、たとえ捺印がなくても法的効力が発生するので注意しましょう。
署名した以上は責任を問われることになり、書類の内容をきちんと把握した上で署名をしないとトラブルに発展する可能性もあります。

書類に記名するときの注意点

記名や署名をするときには、記載されている内容をよく確認してからにしましょう。
安易に書類に記名するのは良くありません。
書類に不利益になるようなことが書かれている可能性も考えられるからです。
また、署名捺印、または記名押印した後の書類を無効にするには数々の手続きを行わなければならず、簡単なことではありません。
記名・署名は内容を了承した意思表示になるので、納得した上で慎重に行うことが重要です。

電子契約書には記名や押印が不要


電子契約書には記名や押印の必要がありません。なぜなら電子署名やタイムスタンプにより法的根拠が認められているからです。

電子契約システムで作成した電子契約書には、実際の印鑑は使えません。
同様に、電子契約システム以外の方法で作成した場合でも、電子契約書はデータ化されているので捺印は難しいのです。

どうしても電子契約書に捺印したい場合は、電子印鑑が使用できます。しかし、印影の偽造が簡単にできてしまうため、印影に識別情報が保存された電子印鑑で捺印した場合以外は法的根拠がありません。形式や見映えとしての効果がある程度です。
また、印影の流出や悪用のリスクもあるので、識別情報などがない電子印鑑は使用しない方がいいでしょう。

電子署名法3条では、本人による電子署名がおこなわれているときは、真正に成立したものと推定するとされています。
電子署名に用いられる「公開鍵暗号方式」では、データを暗号化する「公開鍵」は、データを復号するために必要な「秘密鍵」とセットになっています。
「秘密鍵」は当事者しか所有していないため、第三者による復号はできません。

また、電子契約書にはタイムスタンプを付与することもできます。
タイムスタンプは、発行されたその時に、確かにそのデータが存在し、その後改ざんされていないことを証明するものです。

電子署名による「本人性」タイムスタンプによる「非改ざん性」により、電子契約書は署名・捺印された紙の契約書と同等の法的効力があるとされます。

電子契約書には記名や押印が不要

契約大臣なら電子契約書が簡単に作成できる


電子契約サービスなら「契約大臣」がおすすめです。
契約書のテンプレートが用意されているので、初めてでも簡単に契約書を作成できます。
契約大臣を使って契約を締結する際には署名や捺印の必要がなく、先述したタイムスタンプや契約書を送付・締結などが行われたことを記録する仕組みで、法的根拠を証明します。

また、作成した契約書はメールでやりとりができるので、郵送の手間やコスト削減も可能です。
契約大臣は、月額2,020円(税込)/月〜使用可能で、リーズナブルな料金で利用できます。
これは、さまざまな電子契約サービスの中でも低コストなため、契約書をあまり作成しない中小企業にもおすすです。
オプションの電子署名を利用することで契約書の証拠力が高まり、重要な契約にも安心です。

契約大臣にはお試しフリープランがあり、使用感を試してからプランを契約できるのもメリットの一つです。
契約大臣に興味のある企業様は、まずはお試しフリープランを導入してみてはいかがでしょうか。

電子契約システム契約大臣

まとめ


「記名」と「署名」の違いをまとめると、以下のようになります。

  • パソコンなどで入力する・第三者が代筆するなど、「署名」以外の方法で氏名を記入するのが「記名」
  • 契約書に手書きで住所や名前を記入するのが「署名」


「押印」と「捺印」はともに「書類に印を押す」ことには変わりませんが、「記名押印」「署名捺印」という言葉から「押印」「捺印」となりました。

書類には、安易に記名や押印しないようにしましょう。なぜなら、記名や押印をしたことにより法的効力が発生するからです。そのため、必ず書類の内容を隅々まで確認することがとても重要です。

また、電子契約書なら記名・押印は必要ありません。タイムスタンプや電子署名などで契約が成立したことの法的効力を証明できます。
電子契約システムの中でも、契約大臣はリーズナブルな値段で導入できるほか、お試しフリープランで使用感を試すことも可能です。
電子契約サービスに興味がありましたら、ぜひ契約大臣をご検討ください。

>契約大臣のサービス紹介を見る

契約大臣を無料でお試し登録 契約大臣を無料でお試し登録 電子契約システムの契約大臣サービスTOPへ
契約大臣で電子契約を始める