「電子レシート」というシステムをご存知でしょうか?無人レジやキャッシュレス決済が普及するなか、レシートは未だに紙で受け取ることが多いですよね。この記事では「電子レシート」についてご紹介するとともに、仕組みや利用方法、メリット・デメリットなどについても詳しく解説しています。
皆さんは、「電子レシート」というシステムをご存知でしょうか?
無人レジやキャッシュレス決済が普及し、非接触でのやり取りが当たり前の時代になってきていますが、「未だにレシートだけは紙で受け取っている」という方も少なくはありません。
まだそこまで広く知られてはいませんが、実は様々なお店で「電子レシート」が導入され、その高い利便性について徐々に注目が集まってきています。
今回は、新時代のキャッシュレスシステムと共に抑えておきたい「電子レシート」についてご紹介するとともに、仕組みや利用方法、メリット・デメリットなどについても詳しく解説していきます。
通常、買い物をするとお会計時に紙のレシートが発行されますが、「電子レシート」は紙ではなく電子データとしてレシートを受け取ることができます。
専用アプリをダウンロードすることで、購入情報などの電子レシートが購入者のスマートフォンに送信されるというシステムです。
なお、電子レシートはパソコンやタブレットなどでも受け取ることが可能ですが、普段持ち歩くスマートフォンを用いる方法が最も一般的と言えます。
電子レシートは、コロナ禍で普及が加速した「キャッシュレス施策」の一部として、積極的に取り組まれている分野です。経済産業省が中心となり、自治体や店舗が一体となって実証実験などを行っています。
電子レシートのサービスは様々なものがありますが、主な目的は共通して以下の通りです。
消費者の購入履歴などのデータを蓄積し、事業者がそのデータを活用することで、消費者への理解と新たなサービスの実現を目的として掲げています。
消費者側と店舗事業者側の双方に大きなメリットがある電子レシートは、「新しい生活様式」とともに急激に加速し、今非常に注目を集めています。
電子レシート導入のメリット・デメリットについては以下でも詳しく解説していきますね。
電子レシートは、専用アプリをダウンロードすれば誰でも利用することが可能です。
ここからは、店舗事業者・消費者の双方から見た「電子レシートの仕組み」についてお話します。
まず、電子レシートを発行したい場合には、消費者が事前に「電子レシートアプリ」をダウンロードしておくことが必要です。
そして、消費者から電子レシートを求められたら、店舗事業者は以下のような手順で電子レシートを発行します。
店舗事業者は、消費者から電子レシートの発行を求められた場合にのみ上記の手順で発行すればよいので、そこまで難しい仕組みではありませんね。
しかし、どのようなレジにも対応しているというわけではありません。
店舗事業者が電子レシートシステムを導入するためには、電子レシートに対応した専用のレジを事前に導入しておく必要があります。
電子レシート対応レジの導入については、次項でも詳しく解説していきます。
「紙レシート」と「電子レシート」の大きな違いは、電子データで受け取るという点です。
表示内容はアプリや店舗によっても異なりますが、基本的には紙レシートのように購入内容・金額・購入した場所・日時等、必要な情報は全て記載されています。
電子レシートの場合、紙のレシートのように財布に溜まらずデータで購入履歴の管理ができるというのも大きな相違点ではないでしょうか。
また、電子レシートの場合には収入印紙が不要であることも特徴のひとつとして挙げられます。
電子レシートを領収書の代わりにすることは、法的には可能です。
しかし、電子レシートの普及率はまだまだ低く、会社内で経費精算をする際などには紙のレシートもしくは領収書の提出が求められるケースも珍しくはありません。
電子レシートを利用する際には、法的な部分だけでなく社内ルールなども確認し、目的に応じて使い分ける必要があります。
なお、紙での領収書の提示を求められた場合には、発行された電子レシートを印刷することで対応できるケースもあります。
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領収書とレシートの違いとは?それぞれの記載内容・違いを徹底解説!
では次に、消費者側が電子レシートを利用したい場合の《導入から利用までの4つの手順》を見ていきましょう。
消費者は、電子レシートを発行するための専用アプリをダウンロードします。
タブレットやパソコンでもダウンロードすることができますが、基本的には普段から持ち歩いているスマートフォンの端末を利用するのがよいでしょう。
アプリがインストールされていないと電子レシートを利用することができないので、会計時に余計な手間を増やさないためにも、必ず事前にダウンロードしておく必要があります。
なお、一口に「電子レシートアプリ」と言ってもその種類は様々で、中には自社アプリに電子レシート機能を搭載している店舗などもあるほどです。
どのような電子レシートアプリがあるのかを知りたい場合は、iPhoneの方は「App Store」から、Androidの方は「Google Play」から『電子レシート』と検索することができます。
対応端末や使いやすさはもちろんですが、店舗によっても利用できるアプリが異なる場合もありますので、用途に応じて選択していきましょう。
アプリをダウンロードしたら、必要な情報を入力して会員登録を行います。
店舗によっては、会員限定のお得情報やクーポンが発行されたり、スタンプカードなどのサービスが利用できる場合もあるので、色々チェックしてみるとよいでしょう。
一度会員登録をして店舗と情報を連携しておけば、ポイントカードを提示しなくても自動的にポイントが貯まる仕組みになっているため、ポイントの付け忘れなどを防ぐことができます。
さて、事前準備はここまでです。次は、実際に「電子レシート」が発行されるまでの手順について見ていきましょう。
お買い物の際には、事前にダウンロードしたアプリの「会員バーコード」もしくは「会員QRコード」画面をレジで提示します。
この時に、1点注意しなければならないことがあります。
それは、レジに行ったら必ず最初に会員画面を提示することです。
バーコード(もしくはQRコード)を読み取った後に商品をレジに通すことによって、購入履歴がサーバーに転送され、そのデータをもとに電子レシートが発行される仕組みとなっています。
会計時にバーコードを提示すると、電子レシートの発行が難しくなる可能性もあるため、注意しなければなりません。
電子レシートの発行を希望する場合は、アプリ画面を提示するタイミングには十分気を付ける必要があります。
会計が完了すると、アプリを通して電子レシートが発行されます。
基本的には即時に発行されますが、初回のみデータの反映までに時間がかかるアプリもあるようです。
また、過去の電子レシートのデータも自動保存されるため、確認したい時にはアプリ内で簡単に探すことができます。
店舗によっては保証書なども電子レシートと一緒に電子データで発行されることがあります。
消費者側の電子レシート導入手順について理解を深めたところで、店舗事業者側の手順についても確認しておきましょう。
前項でも少し触れたように、店舗事業者が電子レシートを発行するためには電子レシートに対応した専用のレジが必要です。
専用レジの導入には初期費用や月額固定費などがかかるため、まずは専門のサービス事業者に問い合わせて見積もりを出してもらいましょう。
導入することが決定したら、使い方の手順や注意事項などしっかり確認しておきます。
また、顧客に電子レシートの発行を依頼された際にスムーズな対応ができるよう、従業員にも使い方を周知しておく必要があります。
これまで電子レシートの仕組みや利用の仕方についてお話してきましたが、ここからは電子レシートのメリット・デメリットについて解説していきます。
「店舗事業者側」と「消費者側」ではメリットやデメリットも異なりますので、双方についてしっかりと理解した上で導入を検討しましょう。
店舗事業者側は、電子レシートを導入することで次のようなメリットがあります。
コスト削減はもちろんですが、マーケティングに活用できるという点は電子レシート最大のメリットと言えるのではないでしょうか。
電子レシートを導入することで、レシートに使用していた用紙代やインク代などの経費を削減できます。
また、レシート用紙の交換にかかる時間がなくなる他、レシート発行時に不具合が起きてしまった際のメンテナンスの手間や費用のコストカットも可能になります。
単体で見ると大したコストではないように感じるかもしれませんが、連日多くの人が来店するようなお店の場合は積み重なって大きなコストダウンになることは間違いありません。
さらに、印字された紙のレシートをお客様に渡すという行為自体がなくなりますので、キャッシュレス決済が普及しつつある昨今、完全非接触での接客が可能になり、感染症対策としても効果的です。
領収書は「課税文書」に該当するため、原則として5万円(税込)以上の紙レシートや領収書を発行する場合には収入印紙を貼り付けることが義務付けられています。
しかし、電子レシートの場合は金額に関わらず収入印紙の貼り付けが必要ありません。
電子レシートに印紙税が不要な理由としては、電子レシートはあくまでも“電子データ“であり、課税“文書“には該当しないからです。
つまり「電子レシート」を導入すると、印紙税の節税にも繋がるというメリットがあります。
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そもそも印紙税とは?対象になる書類・収入印紙額・貼り方
消費者が商品を返品したい時には、購入レシートと返品する商品を店舗に持参してもらう必要がありますが、購入時のレシートを紛失してしまうケースも少なくはありません。
「電子レシート」を発行していれば店舗事業者側にもデータが残るため、消費者と事業者側の双方の購入履歴から返品したい商品を簡単に探し出すことが可能です。
前記したように、電子レシートの購入データは店舗事業者側にも蓄積されます。
消費者がアプリに登録した会員情報を元に、年齢・性別・地域などによって販売傾向をデータ分析し、マーケティングを行うことが可能です。
このように、顧客ごとのデータを詳細に分析することができるのも、紙レシートにはない電子レシートならではのメリットと言えます。
不特定多数にチラシを配らなくても、分析したデータを元にアプリを通して顧客に合わせたキャンペーン広告などを発信することが可能です。
顧客の欲しい情報のみが届くようになるので、購買意欲に繋がりやすく、高い費用対効果が期待できます。
余計な手間や費用をかけずに告知効果が得られるのも、電子レシートの魅力のひとつではないでしょうか。
電子レシートの導入を検討しているのであれば、メリットだけでなく、デメリットについても考慮しなければなりません。
店舗事業者側のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
前項でも少し触れましたが、電子レシートを発行するためには、それに対応したレジを導入しなければなりません。
そのため、最初の内は対応レジの導入や決済システムの見直し、スタッフへの周知などで時間と費用が大幅に必要になる可能性があります。
電子レシートの発行にはサーバーへ購入データを送信する必要があるため、安定したインターネット環境が必要不可欠です。
回線の不具合があった場合や電波の届きにくい立地の場合には、電子レシートを発行するまでに時間がかかり、お客様を待たせてしまうこともあるかもしれません。
消費者側が電子レシートを導入するメリットは、次の通りです。
レシートは、1点のみの買い物でも発行されます。
そのため、レシートが財布の中に溜まってしまい、なかなか整理ができないという方も少なくはありません。
財布の中でレシートがいっぱいになってしまうと、必要なレシートを探し出すのも一苦労です。
「必要なレシートをいつの間にか紛失してしまった」という経験をした方も多いのではないでしょうか。
「電子レシートサービス」を利用すれば、購入内容が電子データとしてアプリ内に自動保存されるため、整理する手間が省けて簡単にペーパーレス化が実現します。
レシートの紛失を防ぐことができると同時に、購入履歴から必要な情報をいつでも簡単に探し出すことが可能です。
支出管理をするためにレシートを保管していてたとしても、「忙しくてなかなか重い腰が上がらない」という方も多いのではないでしょうか。
つい後回しにしてレシートを溜めてしまい、やる気を損なってしまうという方も少なくはありません。
「電子レシート」を利用することで、スマートフォン(またはタブレットやパソコン)上に自動でデータが保存されるため、アプリで簡単に支出管理ができるようになります。
家計簿アプリと連携できるものもあるので、支出管理が苦手という方にもおすすめです。
最近は電子マネーやバーコード決済を用いた「キャッシュレス決済」が普及していますが、レシートだけは手渡しで受け取っているという方が多いのが現状です。
電子レシートアプリを導入することで、決済からレシートの受け取りまで全て非接触が可能になり、新時代のサービスとして感染症対策の観点からも注目を集めています。
電子レシートを活用すると上記のように多くのメリットが挙げられますが、消費者側はアプリをダウンロードする前に以下のようなデメリットやリスクについても考える必要があります。
「電子レシート」の情報は、消費者側と店舗事業者側の双方が電子データとして保管します。
データを活用できるというメリットがある反面、情報漏洩リスクというデメリットも考慮しておかなければなりません。
自身のスマートフォンや店舗側のセキュリティが甘いと、購入履歴や会員登録した個人情報が漏洩してしまう危険性があるので注意が必要です。
電子レシートは、スマートフォン内にダウンロードしたアプリの会員バーコード(もしくは会員QRコード)を提示することによって発行されるため、スマートフォンが手元にない場合には発行してもらうことができません。
電子レシートの発行を希望する場合には、スマートフォンを忘れないよう注意しましょう。
最近は、コンビニや小売店などの大手チェーン店を中心に「電子レシート」のサービスを導入する店舗事業者が増えてきています。
しかし上記したように、電子レシートの発行には店舗事業者側でも専用レジを導入する等の事前準備が必要になるため、まだ対応しきれていない店舗が多いのも現状です。
せっかくアプリをダウンロードしても全てのお店で使えるわけではないので、電子レシートが使用できるかどうかは、会計前にしっかりお店側に確認しましょう。
今はまだ少ないですが、デジタル技術の進化とともに電子レシート対応店舗も増えてきています。
そのため、今後は今よりももっと電子レシートを利用できるお店が増えることが予想されます。
「電子レシート」の普及には、初期導入コスト等のクリアしなければならない問題も多々ありますが、それ以上に消費者・店舗事業者双方にとって大きなメリットがあるのも事実です。
今はまだ紙レシートを利用している人の方が多いですが、デジタル技術の進化に伴い、少しずつ電子レシートが普及していくことが予想されます。
電子レシートを活用するためには、システムの内容を十分に理解することが大切です。
上手に活用すればコストや手間を大きく削減できるようになるので、導入を検討している方はぜひこちらを参考にしてみてくださいね。
※この記事は2023年3月時点の情報を基に執筆されています。