企業などの組織で働く際には、さまざまな場面で社内稟議が必要になります。この記事ではそもそも社内稟議とは?という疑問から稟議書の書き方、稟議と通すためのポイントなどを解説します。さらに稟議に関する業務を円滑にするための方法も紹介しています。
企業などの組織で働く際には、さまざまな場面で社内稟議が必要になります。
しかし、初めて社内稟議にかけるとなると、決裁との違いや書き方が分からないという人も出てくるでしょう。
この記事では、社内稟議の概要から稟議を通すポイントまでをわかりやすく解説するので、参考にしてください。
そもそも社内稟議とはどのようなものなのか、ここで確認していきましょう。
企業などの組織において、上長などから承認をもらうために行うのが、社内稟議です。
承認者は組織の上層部や経営に携わる人たちで、複数人からの承認が必要な場合が多くなっています。
承認をもらうとなると会議を開催するケースもありますが、社内稟議は会議をするほど重要度は高くないものについて、承認をもらうための役割を果たします。
社内稟議は承認権限を持つ人から承認をもらう行為で、承認権限を持つ人は複数人いる場合もあります。
一方で、決裁は最終的に申請の可否を決裁者が決定することそのものを指します。
承認者を挟まない場合の申請は、社内稟議ではなく決裁となります。
ただし、決裁でも複数人からの承認を必要とするケースもあり、その場合は稟議と同じような手順を踏むこともあります。
また、検討から決定までの時間を短縮するため、社内稟議は行わずに決裁のみを行うことを基本としている企業もあります。
社内稟議は、さまざまなシーンで活用されます。
このうち、人材の採用に関わるものを「採用稟議」、外部企業などとの契約に関わるものを「契約稟議」、備品の購入やシステムの導入などに関わるものを「購入(購買)稟議」と呼びます。
企業によっては、稟議書のテンプレートが用意されていることもあるでしょう。
しかし、場合によってはゼロから作成しなければならないこともあります。
そこでここからは、稟議書の書き方について解説します。
稟議書には、下記の項目については記載しておくことが基本です。
これらは、稟議する案件を実行する目的を明確にし、なぜ必要なのかを伝えるために必要です。
稟議を通すためにも、必要な項目は漏れなく記載しましょう。
稟議書の作り方に決まったルールはないため、必要な項目がわかりやすく記載されていれば基本的には問題ありません。
ここでは、一般的な稟議書の例文をご紹介するので、参考にしてください。
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案件名:システム導入についての申請
○○年○○月○○日
・商品名:○○システム(□□社提供)
・金額:0,000円(税込)/月
・商品詳細:システムのURLを記載
・目的:現在の課題である△△を解決すべく、○○システムを導入し課題を解決し業務を効率化することで、より売上アップをめざしたいと思い、承認をお願いした次第です。
・効果:当社の課題として挙げられている△△ですが、○○システムの特徴を活かすことで大幅に改善が期待できます。
・懸念事項と対策:社員全員が利用するためには事前の研修などが必要となりますが、これについては別途でマニュアルの作成や研修を実施していきたいと考えています。
申請者:■■
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メールで送る場合には、冒頭に「◇◇部の■■です。以下、システム導入についての申請をさせていただきます。内容をご査収いただき決裁承認の程よろしくお願いいたします。」などの一文を付け加えると良いでしょう。
稟議を通すためには、ここでご紹介する6つのポイントを押さえておきましょう。
稟議を通すためには、稟議書をまわす前に承認者に軽く話をしておくと安心です。
突然の稟議申請では承認者も寝耳に水となり、確認などで時間がかかってしまうこともあります。
そこで、事前に「○○について稟議書を提出しようと思っています。」と情報を伝えておくのです。
たったこれだけですが、承認者は心構えができると共に事前に確認などの準備ができるため稟議が早く承認されやすくなります。
稟議を通すためには、案件についてなるべく詳細な情報を記載すべきと考える人もいます。
もちろん必要な情報については詳細にしっかりと記載することが大切ですが、情報が多すぎると重要な点が埋もれてしまうことに注意が必要です。
ここでのポイントは、必要ない情報と重要な情報をしっかりと見極めることです。
重要な情報をより際立たせて説得力を高めるために、案件についてしっかり調査して情報を精査しておきましょう。
稟議書は一般的に複数人が確認するものであることから、どのような立場の人が読んでもわかりやすい文章にする必要があります。
素晴らしい稟議をまわしたとしても、わかりにくい文章であったことが理由で稟議が通らなければ意味がなくなってしまうためです。
わかりやすくまとめるためには、専門用語の使用を最低限に抑え、簡潔にまとめることが大切です。
業界外の人であっても無理なくわかるような文章にすることを心掛けましょう。
企業によっては、毎日たくさんの稟議書がまわされることも珍しくありません。
そうなると、承認者はすべての稟議書に目を通すことができない場合もあるでしょう。
このような場合、承認者の目に留まりやすいのは、稟議書冒頭の部分となります。
結論が先に書いてあれば、短い時間でも稟議に興味を持ってもらいやすくなります。
説得力を高めるためには、具体的なデータを引用すると効果的です。
「作業時間の短縮が期待できます」よりも、「作業時間が1日あたり2時間短くなると想定されます」と具体的な数字で記載したほうが、説得力があるためです。
これらのデータは、信用できる情報を引用することも欠かせません。
商品の購入や利用に際しては、商品の公式サイトの情報を引用すると効果的です。
稟議を通したいと強く思うと、メリットばかりと記載したくなることもあるでしょう。
しかし、どのようなものにも、一般的には少なからずデメリットがあるものです。
メリットばかりを書いてしまうと「デメリットについては検討なし?」と、懸念を抱かれてしまうこともあります。
これを避け稟議を通しやすくするためには、メリットについてしっかり記載したうえで、デメリットおよびこれに対する対処法について記載することが大切です。
稟議書作成においては、さまざまな課題が叫ばれています。
企業により課題は異なりますが、ここでは一般的な課題についてご紹介します。
稟議書を書面でまわす場合、作成にコストがかかります。
紙代や印刷代はもちろん、稟議をまわした後も書類を管理するファイルやキャビネットなどが必要になるでしょう。
稟議書に添付する資料が多い場合や稟議書をまわす頻度が高い場合は、よりコストが多くかかることになります。
複数人から承認をもらうためには、それだけ長い時間が必要です。
誤字脱字やミスのない完璧な稟議書を用意していたとしても、承認者の都合によっては承認に時間がかかることも珍しくありません。
このタイムラグが、ビジネスにおいては大きな影響を及ぼすこともあるでしょう。
書面の稟議書を検索しやすいように保存するためには、整理してファイリングする必要があります。
稟議書の数が多ければ、より手間がかかるだけでなく、保存するために人員を割かなければならないこともあるでしょう。
前項でご紹介した3つの課題を解決するためには、ここでご紹介する2つの方法を実践すると効果的です。
申請から決裁、保存までの流れをワークフローといいますが、これをあらかじめルールとして設定しておくと効果的です。
社員それぞれが思い思いに稟議書をまわしてしまうと、承認者も作業に手間取ってしまうためです。
たとえば、稟議書のフォーマットを用意することで、承認者は稟議書を読みやすくなるでしょう。
承認をまわす順番を決めておけば、承認者も迷うことなく稟議書をまわしていくことができます。
このように仕組みを作っておくことで、稟議書は効率的にまわせるようになり承認までの時間を短縮することができます。
また、状況に合わせてワークフローは都度見直し、その時々で最適な仕組みにすることも大切です。
システムやツールを活用すると、承認までの時間は大幅な削減が期待できます。
申請者は規定のフォームで申請し、承認者は送られてきた稟議書を確認するだけの作業となり、メールの中に稟議書が埋もれてしまうこともありません。
また紙代や印刷代などのコストを削減できるほか、決裁された稟議書はそのまま保存されるため、保存のための手間もかからなくなります。
稟議システムを導入して稟議書を電子化すると、さまざまなメリットが得られます。
書面の稟議書は、承認者の元へ書類を持っていくなどの手間と時間がかかります。
承認者から次の承認者まで移動する時間も必要となるため、最終的な承認までは時間がかかりがちです。
しかし電子化した稟議書であれば、これらの時間は必要なく、申請者も承認者も自分のデスクで申請作業や承認作業を完了することができます。
こうして、最終的な承認までの時間を短縮することができるのです。
紙に印刷をしない電子化した稟議書を活用すれば、ペーパーレス化につながります。
これにより、紙代、印刷代などのコストを削減することができます。
リモートワークの場合、書面の稟議書はオフィスに出社しなければまわすことができません。
しかし電子化した稟議書は、オフィスに出社せずとも、どこからでもまわすことができます。
リモートワークを導入している企業でも、電子化すれば稟議書をスムーズにまわすことができます。
書面の稟議書は、どうしても人的ミスにより紛失するリスクを伴います。
落としてしまったり置き忘れてしまったりすることもあり、これを完璧に防ぐことは難しいでしょう。
しかし電子化できれば稟議書はデータで取り扱うことになるため、物理的な紛失のリスクはありません。
クラウドなどに保存しておけば、パソコンが万が一壊れてしまってもデータが消失することはありません。
書面の稟議書の保管はファイリングするなどの手間がかかりますが、電子化した稟議書は保管にそこまで手間がかかりません。
検索しやすいようにファイル名を付けたりファイル分けしたりなどの作業は必要ですが、書面の保管に比べるとその手間は大幅に少なくなるでしょう。
稟議書を電子化すると、さまざまなメリットが得られます。
承認までの時間が短縮できることから、ビジネス面においても大きな魅力となるのではないでしょうか。
ペーパーレス化にもつながるので、ぜひこの機会に導入をご検討ください。
ペーパーレス化なら、電子契約システム「契約大臣」の利用がおすすめです。
契約大臣は電子契約のためのシステムですが、複数者間との契約が可能で、この仕組みを用いてワークフローのように社内で契約書の確認をすることが可能です。
稟議書の電子化とあわせて、ぜひ導入を検討してみてください。
稟議書を通すためには、結論を先に書きわかりやすく簡潔にまとめるなどのポイントを押さえておくことが大切です。
また電子化して承認までの時間を短縮すれば、企業全体の業務効率アップにもつながるでしょう。
申請者・承認者それぞれの負担を減らすために、システムなどの導入も検討してみると良いでしょう。
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※この記事は2023年3月時点の情報を基に執筆されています。