土地や建物の取引において重要となる説明事項が書かれた書面のことを「35条書面」と言います。今回は、「35条書面」とはどのような書面なのか、記載内容や注意点などを含めて解説します。間違われやすい「37条書面」との違いについてもお話していきますので、不動産取引を控えている方はぜひ参考にしてみてください。
不動産取引で欠かせない「35条書面」ですが、専門的な知識が必要で記載事項が複雑なため、いざ作成する時に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
そのような中、2022年5月に宅建業法が改正され、これまで書面での交付が義務付けられていた「35条書面」や「37条書面」も電子取引が可能になりました。不動産取引においても今後ますますデジタル化が進むことが予想されます。
今回は、「35条書面」とはどのような書面なのか、記載内容や注意点などを含めて解説します。間違われやすい「37条書面」との違いについてもお話していきますので、不動産取引を控えている方はぜひ参考にしてみてください。
土地や建物の取引において重要となる説明事項が書かれた書面のことを「35条書面」と言います。
別名「重要事項説明書」とも呼ばれますが、宅地建物取引業法《35条》の規定に基づいていることから「35条書面」と言われることが多いです。
35条書面は、契約を締結する前に交付されます。取引内容や注意点を相手にしっかりと説明することで、後になって「聞いていない」「話が違う」等のトラブルを未然に防ぐことを目的としています。
ここからは、「35条書面」への理解を深めるために覚えておきたい大切なポイントについて解説します。
35条書面には契約をする上での重要事項が記載されているため、宅地建物の状況に詳しい宅建業者に作成する義務があります。
また、説明義務は宅建業者が負いますが、重要事項説明は宅地建物取引士が行わなければなりません。説明すべき重要事項をすべて書面に記載し、その内容に沿った説明を行います。
トラブルを未然に防ぐためにも、宅地や建物に詳しくない人が聞いても理解できるように説明しましょう。
35条書面は、契約が成立する前に交付し、説明することが義務付けられています。
場所は特に決められていないため、どこで説明を行っても構いません。
書面の作成は宅建業者でも行えますが、必ず宅建取引士の記名がある書面で宅建取引士証を相手方に提示しながら説明する必要があります。
なお、記名をした宅建取引士と説明をする宅建取引士が同一人物である必要はありません。また、相手方が宅建業者の場合には、書面を交付するのみで説明を省略することもできます。
相手が宅建業者である場合を除いた以下ケースの場合、重要事項説明が不要になることがあります。
例外ケース:個人間での不動産売買で、仲介会社を入れない場合
(そもそも重要事項説明書を作成する必要もありませんが、トラブルになりやすいためおすすめはできません)
35条書面は、土地や建物の借主・買主に対して作成する書面です。
契約前に交付される35条書面は、買主や借主にとって契約を締結するかどうかの判断基準にもなる重要な役割を果たします。
ここからは、「35条書面」に記載する内容について、項目ごとに一覧表を作成してご説明します。
(国土交通省「重要事項説明・書面交付制度の概要」を参照)
35条書面を交付・説明する際には、相手からの請求の有無に関係なく、宅建取引士証を提示する義務があります。
万が一宅建取引士証の提示を忘れてしまった場合は「提示義務違反」となり、監督処分の対象になることがあります。罰則として、10万円以下の過料が課せられるケースもあるため、重要事項説明をする際には必ず宅建取引士証を提示しましょう。
宅建業者が、相手方の不利益になるようなことを知っていたにも関わらず、故意に事実を隠して告げなかった場合や、不実のことを告げた場合には、「告知義務違反」となります。
例えば、契約時にマイナスになりそうなことを隠したくなることも多いですが、マイナス面こそ相手へしっかり伝えておかなければいけません。契約締結後に隠していたことが発覚した場合、社会的信用を失うだけでなく重い罰則が科せられてしまいます。
このような場合、「業務停止処分」だけに留まらず、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。当該事実が非常に重要であると判断された場合には、これらを併科される可能性もあるため、事実は隠さず全て35条書面に記載し、口頭でも相手にしっかり説明しましょう。
35条書面には、対象となる土地や建物の情報について記載する義務があります。つまり宅建業者には、書面の作成にあたって正確な情報を記載するための調査義務が発生するということです。
その調査義務を怠り、適切な情報を相手方に伝えることができなかった場合には、たとえ故意ではなかったとしても【2】と同様「説明義務違反」に問われる可能性があります。ただし、適切な調査を行ったにも関わらず気付けなかったような場合は罪には問われません。
これまで「35条書面」の詳細についてお話してきましたが、混同されやすい書面として「37条書面」というものがあります。
一見似ているため非常に間違われやすいですが、それぞれの性質をしっかりと理解して違いを認識しておきましょう。
37条書面とは、「契約書面」または「契約内容記載書面」のことを言います。こちらも、宅地建物取引業法《37条》の規定に基づいていることから条例番号で呼ばれることが多いです。
37条書面は契約を締結した時に交付し、ルールや条件等を書面に記載したものです。ルールを明確にしておくことで、将来的なトラブルを回避する目的で取り交わされます。
なお、契約書と37条書面は別の書面であることを覚えておきましょう。しかし場合によっては、契約書に37条書面の内容を盛り込み、ひとつの契約書としてまとめるケースもあります。
関連リンク
37条書面とは?その内容と35条書面との違い
35条書面との違いを分かりやすく表にまとめたので、比較の参考にしてみてください。
これまで、不動産取引における様々な書面は紙で交付する必要があり、署名・捺印をすることが義務付けられていました。
しかし2022年5月18日に宅建業法が改正され、不動産取引でも電子契約が可能になりました。それに伴い、不動産取引には欠かせない「35条書面」と「37条書面」についても次のような電子化が認められ、不動産取引でもペーパーレス化が急速に進んできています。
「35条書面」や「37条書面」が電子化することによって、様々なメリットが生まれます。
書面で交付していた時には、印刷をする紙代やインク代、郵送でやり取りする場合には郵送代や対面でも交通費などがかかっていました。
1契約でのコスト面のみを見れば大したことのない金額かもしれませんが、それが複数の契約になればその分費用もかさむことになります。
電子契約を導入することで、これまでかかっていた物理的な経費の削減が可能です。それだけでなく、オンライン上で書面の作成から契約の締結までが完了するため、場所を選ばずスピーディーに対応することができるようになります。
取引が円滑に進められるとともに、スケジュール調整などの時間も大幅に削減することが可能です。双方にとっての業務の効率化が期待できます。
不動産のように高額な取引の場合、紙の書面には取引金額に応じた収入印紙を貼り付ける必要がありました。しかし、電子契約の場合には収入印紙は必要ありません。
つまり電子契約に切り替えると、紙代やインク代だけでなく、収入印紙代が丸々節約できるというわけです。
重要な書面は法律で一定期間の保管義務があるため、契約数とともに書類の量も増えていきます。
紙の書面で管理していた時にはファイリングの手間や保管場所の確保が必要でしたが、電子契約の場合はそれらが一切必要ありません。
「電子契約システム」なら、フォルダ管理機能や検索機能が搭載されているものも多いため、書面の管理がとても楽になります。
電子契約システム『契約大臣』は、最新の電子署名法・電子帳簿保存法に準拠し、重要な契約時にも安心してお使いいただくことが可能です。
利用頻度の高い書面はすぐに使えるテンプレートもご用意しておりますので、書類作成から締結までスピーディーにご対応いただけます。
35条書面や37条書面の場合、相手の承諾があれば電子交付が可能になりました。一方、『契約大臣』では契約締結をする際にも、わざわざ相手方に登録をしていただく必要はありません。
発行者のみご登録をいただいていれば、相手方は交付された書面に電子サインをするだけでスムーズな契約締結が可能です。
電子契約システムが初めてという方にもご安心いただけるよう、サポートシステムやフリープランなどの手厚いサービスもご用意しております。電子契約システムの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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