【例文あり】発注書とは?注文書との違いや書き方を徹底解説!

更新: 2022-11-15 19:59

発注書とは、商品を購入したいときや仕事を依頼したいときに、相手方に対して意思を伝えるための書類です。この記事では、発注書と注文書、注文請書の違い、発注書の必要性や主な作成の流れについて解説。あわせて、発注書メールの書き方や例文、電子契約導入のメリットについてもお伝えします。

  • 目次

商品やサービスを注文する際に発注書を作成することがありますが、発注書はなぜ必要なのか、注文書の違いはどこにあるのか気になるところです。また、発注書に何を書けばよいのかわからなくて、困ることもあるのではないでしょうか。

この記事では、発注書とはどのような書類で何を記入すれば良いのか、注文書との
違いなどについて詳しく説明しています。

発注書について知りたい方は、ぜひ最後まで記事をご覧ください。

発注書とは何か?


発注書は、商品を購入したいときや仕事を依頼したいときに、相手方に対して意思を伝えるための書類です。
発注そのものは口頭で伝えても構わないので、発注書を作成しないことも多くあります。
しかし、どのような内容で頼んだのかを明確にするためにも、発注書は作成した方がよいでしょう。

発注書の役割

発注書には主に3つの役割があります。

  • トラブルを未然に防ぐ(発注書の必要性の項目で後述します)
  • 取引開始前に、発注者と受注者の役割を明確にする
  • 発注書交付することで受注者は安心して仕事ができる


発注書は下請業者に発注する場合を除き、なくても処罰の対象になりません。
しかし、作成した方がお互いの信頼関係が築けるうえに、トラブルの予防にも繋がります。

例えば、建築現場や工事現場でさまざまな種類の資材を大量に発注する場合、口頭では伝えきれず、発注漏れの恐れがあります。

発注書は、発注した証拠を残す意味でも効果的です。

発注書の役割

発注書と注文書の違いは?


結論から言えば、発注書と注文書の役割は同じです。
発注したい意思を伝えるものであれば、「注文書」でも「発注書」でも問題はないと言えます。
気になる場合は、書類を発行する前に「注文書」と「発注書」のどちらにしたら良いか、取引先に問い合わせてみるのがよいでしょう。

発注書と注文書の意味は同じですが、両方使用すると混乱の元にもなります。
1つの契約や業務に使う言葉は統一しましょう。

発注書と注文請書の違いは?


発注書が発注者から受注者に発注の意思を伝えるものであるのに対し、注文請書は、受注者側が発注を受けることを表明するものです。
発注請書、あるいは短縮して請書と呼ぶこともあります。

注文請書は発注書と一対になるものであり、発注書と同様に発行は必須ではありません。注文請書にもさまざまな呼び方がありますが、統一して使用するのが良いでしょう。

例えば、「発注書」で依頼した場合は「発注請書」、「注文書」なら「注文請書」を発行してもらいます。

1つの取引の書類に「発注書」と「注文請書」が混在すると、どの取引に対しての書類かわからなくなる可能性があります。

発注書と注文請書の違いは?

発注書の必要性


発注書がないと、以下のようなトラブルが考えられます。

  • 発注した・しないなどの発注そのもののトラブル
  • 発注側と受注側による受け取った内容の違い(言い間違え・聞き間違えなど)
  • 納品日や支払期日・口座がわからなくなる可能性


このようなトラブルを防ぐためにも発注書が必要です。
発注内容が書面になっていれば、どのような内容で発注したのか履歴が残り、トラブルが発生したときに確認できます。

また、納期に間に合わないなどのトラブルが発生したときにどうするのか、事前に決めて発注書に記載しておくと、スムーズな対応が可能になります。

発注書の作成時に抑えておきたい諸制度


発注書の保管期間

発注書の保管期間は法律によって定められています。

・法人…7年(法人税法)
法人税法により、法人の場合は発注書を7年保管することが定められています。

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。
引用元 : 国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間 

※発注書は「作成した書類」に該当します。

ただし、保管期間には例外があるので気をつけなければなりません。

  • 青色申告書を提出した事業年度に欠損金が発生したときの保管金は10年
  • 青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金が発生した事業年度の保管期間は10年(ただし、平成30年4月1日以前の事業年度は9年)


・個人…5年(所得税法。ただし、消費税納税事業者は7年)
 個人事業主の場合は、白色申告・青色申告に関係なく所得税法による発注書の保管期間は5年となっています。
   ただし、所得税納税事業者の場合は消費税法が適用されるため、発注書の保管期間は7年になるので気をつけましょう。

このことから、法人は10年、個人事業主は7年発注書を保管するとよいでしょう。

下請法対象の場合

下請業者に発注する場合には、下請法により発注書の作成・交付義務があります。

親事業者は、発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面(3条書面)を直ちに下請事業者に交付する義務があります。

引用元 : 公正取引委員会 下請法 

また、下請け業者の利益を守るために以下の義務が定められています。

  1. 書面の交付義務
  2. 支払日を決定する
  3. 書類の作成および保存
  4. 支払いが遅延したことによる利息の支払い義務


下請業者に商品や仕事を発注するときには、必ずこの4つの義務を守り、発注書に記載しお互いに保管するようにしましょう。

下請法対象の場合

発注業務の主な流れ


見積もりを依頼し、内容を確認する

業務を発注する前に見積もりを依頼します。
納期などの条件があるときには、この時点で相手方にしっかりと伝えることが大切です。

発注書は見積書を元にして作成し、発注をします。
そのため、見積もりの段階で双方の条件などをすりあわせておかないと、発注時に齟齬が発生し、トラブルになる可能性があります。

見積もりの時点で、双方の条件が食い違うことがないようにしましょう。

発注する

見積書に問題がないようでしたら発注します。
発注の際の書類発行のパターンは以下のようなものが考えられます。

  • 発行なし
  • 発注書のみの発行
  • 契約書とともに発注書を発行


下請業者に発注する以外は、発注書を発行しなくても問題ありません。
しかし、発注書は前述したようにトラブル回避の役割も果たします。できることなら発行した方がよいでしょう。
また、別途契約書を作成し、売買契約や業務委託契約などを締結するとより安心ですが、発注書のみでも発注は可能です。

発注書の記載内容に漏れがないか、見積書と発注書に相違がないか確かめてから、相手方に発注しましょう。

納品されたものを検収する

受注者より、商品や成果物が納品されたら早めに検収しましょう。
なぜなら、検収したことにより欠陥が見つかった場合は、相手方に対応してもらう必要があるからです。
検収が遅くなると、欠陥がある場合の連絡も遅くなるので、全体の納期が遅くなる可能性があります。

また、欠陥のあるなしを確認するのと同時に、見積書どおりの納品がされているかもチェックします。
見積書と違うものが納品されていた場合も、相手方にすぐに連絡し、商品の交換などに応じてもらうようにしましょう。

支払いをする

納品されたものに問題がなかったら、金銭の支払いをします。
支払い方法は企業によって違うので、請求書に記載されている方法で支払いましょう。

相手方に対して売掛金があった場合、今回の支払金額と相殺処理をする場合もあります。
売掛金と相殺する場合も、双方で確認した上で処理を行うようにしましょう。

発注業務の主な流れ

発注書の提出方法


発注書を相手方に提出するときには、以下の方法を利用しましょう。

  • 郵送
  • メールで送信
  • FAXで送信

いずれの方法で提出する場合でも、事前に相手方の承諾を得る必要があります。

メールで発注書を送信する際には、PDFファイル形式で作成し、メールに添付して送信するようにしましょう。
FAXの場合は、送信履歴が残っていても、受信側に用紙切れなどのトラブルがあり届いていない場合もあります。FAX送信後、届いているか電話などで確認するとより安心です。

発注書の送付前に必要なもの


発注書を送付するに当たって、必要なものは以下のとおりです。

郵送の場合


発注書用紙

雛形がない場合は、さまざまなサイトでダウンロードできるので、それらを活用すると便利です。

封筒

サイズに決まりはありません。発注書を折りたくない場合は定形外封筒を選ぶとよいでしょう。

切手

定形サイズは84円、定形外サイズは120円切手を用意します。
ただし、25gを超える場合はそれぞれの重さに対した切手が必要になります。
発注書を送付するときには、重さに気をつけるようにしましょう。

発注書(注文書)在中のスタンプ

スタンプがなければ手書きでも問題ありません。

なお、FAXの場合は発注書用紙、メールにPDFファイルを添付する場合は、発注書の様式を用意するだけで済みます。

発注書の送付前に必要なもの

発注書の記入事項と書き方


発注書には、必ず記入しなければならない事項があります。
それらについて、書き方とともに解説します。

1.書類を作成した者(発注者)の氏名または名称
はじめに、書類を作成し発注を行う者の氏名(社名)や住所、電話番号などを記入しましょう。

2.取引する年月日
原則として、発注する年月日を記入します(発注書発行日)。

3.取引内容
発注する商品やサービス・数量・単価・納期など、発注するのに必要な内容を書きましょう。

4.金額
取引金額の合計を税込みで記載します。金額はわかりやすいようにフォントサイズを変えるか、太字を使用するとよいでしょう。

5.書類の交付を受ける者の氏名または名称
発注書を受け取る(受注者)の氏名(社名)や住所、電話番号などを明記します。

公正取引委員会が定めている発注書の記入事項


下請業者に発注する場合には、公正取引委員会が定めた「下請代金支払遅延防止法」に記載されている事項を必ず発注書に記入し、下請業者に送付しなければなりません。

記入しなければならない事項は以下のとおりです。

  1. 親事業者及び下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
  2. 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
  3. 下請事業者の給付の内容(委託の内容が分かるよう,明確に記載する。)
  4. 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,役務が提供される期日又は期間)
  5. 下請事業者の給付を受領する場所
  6. 下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,検査を完了する期日
  7. 下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが,算定方法による記載も可)
  8. 下請代金の支払期日
  9. 手形を交付する場合は,手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
  10. 一括決済方式で支払う場合は,金融機関名,貸付け又は支払可能額,親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
  11. 電子記録債権で支払う場合は,電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
  12. 原材料等を有償支給する場合は,品名,数量,対価,引渡しの期日,決済期日,決済方法


引用元 : 公正取引委員会 親事業者の義務

しかし、発注書作成時には詳細が決まっていない項目もあることでしょう。
その場合は、詳細が明らかになった時点で直ちに該当する項目を記載した書面を発行し、下請業者に渡す必要があります。



発注書メールの書き方と例文


発注書はメールで送信可能です。メールで発注書を送信すると、相手方もすぐに内容が確認でき、発注の内容も文章で残るので、効率よく発注が可能です。

ただし、事前に相手方にメールで発注書を送信して良いか、承諾を得る必要があります。

発注メールには、最低でも以下のことを記載するようにしましょう。

  1. 発注書だと一目でわかるタイトル
  2. 発注の内容
  3. 商品の発注の場合は、型番や数量
  4. 希望する納期
  5. 納品場所
  6. 発注担当者の氏名および電話番号



件名:【発注依頼】商品○○○等に関して

株式会社●●●
営業推進部 ●● ●●様

いつもお世話になっております。
株式会社△△△ △△でございます。

先日はお見積もりをお送りいただき、ありがとうございました。
ご提示の金額にて下記の通り発注いたします。

----------------------------------------
・商品名  :○○○
・品番   :0000-AAAA-1
・数量   :100個
・納品希望日:20○○年○月○日
・納品場所 :株式会社△△△ 第△倉庫
----------------------------------------
・商品名  :■■■
・品番   :0000-BBBB-2
・数量   :200個
・納品希望日:20○○年○月○日
・納品場所 :株式会社△△△ 第△倉庫
----------------------------------------

ご不明点等ございましたら、
私 △△(電話番号:○○-○○○○-○○○○ mail:○○○○@○○.ne.jp)までご連絡ください。

よろしくお願いいたします。

----------------------------------------
株式会社△△△
資材調達部 △△ △△
電話番号:○○-○○○○-○○○○ mail:○○○○@○○.ne.jp
----------------------------------------


発注書は、改ざん防止のためにもPDF形式で送信しましょう。

発注書には印鑑が必要?


発注書に押印がなくても、法的効力は変わりません。
しかし、記名・押印(署名・捺印)があった方が取引先も安心するので、できることなら押印した方がいいでしょう。
また、発注した内容に関わる裁判が起こった場合、発注書に記名・押印があった方が、「証拠」としての効力が強い傾向にあります。

また、海外では、発注書にサインをする国がほとんどです。
手書きのサインは、筆跡がわかりやすく偽造も難しいことから、証拠として有効です。

その流れは日本にもあり、発注書などの書類は、印鑑の代わりに手書きでサインをしても有効な書類として扱われます。

発注書の収入印紙はどうする?


発注書には基本的に収入印紙を貼る必要はありません。
なぜかというと、発注書は「発注の意思を表明するもの」であり、課税文書の1号〜20号に該当しないからです。

課税文書と収入印紙についての詳細はこちらをご覧ください。
関連リンク:電子契約なら印紙代がかからない!印紙税と収入印紙のしくみとは?

ただし、発注書にも収入印紙が必要なケースがあります。
対象の発注書がどのようなものか確認して、必要な場合は収入印紙を貼るようにしましょう。

発注書を作成・発行する際の注意点


発注書を作成・発行する際に注意したいポイントを5つ紹介します。
相手方に不快な思いをさせないためにも、作成した発注書は下記のことを意識してもう一度確認しましょう。

見積書の内容と合っているか

発注書は、見積書を元にして作成します。この時に、見積書と違う内容で発注書を作成するとトラブルの原因になるので、発注書を作成したら、見積書と内容が一致しているか確認しましょう。

数量や金額、納期や支払い方法が正しく記載されているか

発注書を作成したら、記載した数量や金額、納期や支払い方法が間違えていないか、確認することも大切です。
これらの内容を間違えていた場合、材料が届かずに作業が滞る、余分な在庫を抱えることになる、代金の支払時に揉めるなどの原因になります。
このようなトラブルを回避し、相手方とスムーズに取引するためにも、再度、発注書の内容を確認しましょう。

下請法に違反していないか

下請業者に発注する場合は、発注書作成の義務があります。必ず発注書を作成し、下請業者に送付しましょう。
他にも、納品されてからの支払い期日の規定などさまざまな決まりがあります。違反すると、罰則や公正取引委員会による勧告を受ける可能性もあるので、作成した発注書が下請法に違反していないか、内容を細かくチェックするようにしましょう。

発注書を作成・発行する際の注意点:下請法に違反していないか

収入印紙が必要かどうか

先に述べたとおり、発注書そのものには原則収入印紙は必要ありません。
しかし、性格上、発注書が契約書の役割を担う場合には課税文書の対象となり収入印紙が必要になります。
作成した発注書が契約書に該当するか否か、再度確認しましょう。

発注書の送付方法に注意する

こちらも先に述べたとおり、発注書の送付方法には規定があります。
特に、紙の発注書を送る場合には注意しましょう。
発注書は「信書」のため、必ず郵送する必要があります。メール便や宅急便を使用すると違反となり、懲役または罰金の対象となるので、必ず事前に発送方法を確認しましょう。

発注書は電子化するのがおすすめ


発注書は電子化するのがおすすめです。
なぜなら、以下のようなメリットが挙げられるからです。

  • テンプレート化して穴埋め形式で作成でき、人的なミス(入力を間違える・記載漏れ)や作業工数の軽減に繋がる
  • 相手方にデータで発注書を送信するので、プリントアウトや郵送の手間がなくなる
  • 電子データで保存できるので、書類紛失のリスクが軽減する


発注書は電子化が可能な書類です。紙の発注書に煩わしさを感じている方は、電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ


発注書は、商品や仕事などを発注する意思を表すもので、「注文書」との違いはありません。
仕事やサービスなど、形のないものを発注するときに「発注書」、商品など形あるものを「注文書」としている場合もあります。

発注書を作成する理由は、形に残すことでトラブルを回避するためです。
発注そのものは口頭でも成立しますが、後で口論にならないようにするためにも、書面に残した方が良いでしょう。

発注書は電子化すると、プリントアウトや郵送の手間が省けるなど、さまざまなメリットがあります。また、電子化には電子契約システムを使用すると便利です。

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