領収書の定義とは?重要な役割・書き方・レシートとの違い

更新: 2022-11-07 19:08

領収書とは、サービスや商品などの購入に対し金銭の取引があったことを証明する「証憑書類」です。この記事では、領収書の役割や書き方、レシートとの違い、領収書を発行するまでの流れについて解説します。合わせてクレジットカード払いの場合の領収書発行の有無についても説明します。

  • 目次

レジなどの業務を担当していると、「領収書をお願いします」といわれることは決して珍しくありません。
書き方はなんとなく分かるけれど、領収書の定義や役割、レシートとの違いなどは分からないという方もいるでしょう。

この記事では、領収書の定義や役割、書き方について詳しくご紹介します。
レシートは領収書の代わりになるのかどうかについても解説するので、ぜひ役立ててください。

領収書の基礎知識


まずは、領収書についての基礎知識をご紹介します。

領収書の定義

領収書は、「サービスや商品などの購入に対し金銭の取引があったことを証明するもの」です。
取引があったことの真実性を担保するための「証憑書類」として分類され、公的な書類となります。
金銭を支払った側にとっては金銭を支払ったことの証拠書類、サービスや商品を提供した側にとっては金銭を受け取ったことの証拠書類です。
どちらの側にしても、領収書は金銭が動いたことの根拠となる重要な書類です。

領収書の役割

領収書の役割は、「金銭の動きを確実に証明すること」です。
たとえば、支払い済みの取引であっても、領収書がなければ支払い済みであることを証明できません。
支払った側がいくら「支払った」といっても証明する書類がないために、やむなく再度支払わなければならないこともあるでしょう。
このように、過払いなどの金銭的なトラブルを防ぐための役割を担っています。

また、売上や経費を計上するための証拠書類としての役割も果たします。
法人であっても個人事業主であっても、領収書は5~10年の保存期間中は保存しておかなければなりません。
税務調査などにそなえ、必ず保管しておきましょう。

経費処理における領収書の場合は、経費の不正利用を防ぐという役割もあります。
異なる内容での経費申告や架空の経費申告、過剰な経費申告を防ぐためにも領収書は重要な存在です。

領収書と領収証の違い

領収書と領収証には、大きな違いはありません。
どちらも民法上は「受取証書」と呼ばれ、ほぼ同じ意味で使われます。

厳密に見ていくと、領収書は「金銭や商品の受け取りがあった事実が記された書類」で、領収証は「金銭や商品の受け取りがあった事実を証明するもの」です。
国税庁では、印紙税が必要な課税文書について、領収証や預かり証、レシートを総称して「領収書」とするとしています。
また、役所や金融機関が発行した書類は「領収証」と表記されるのが一般的です。
とはいえ、一般的には領収書と領収証に大きな違いはなく、どちらもほぼ同じ意味で使用されます。

領収書と領収証の違い

レシートは領収書の代わりになる場合がある


レシートは、領収書の代わりの「証憑書類」として扱われることがあります。
領収書と同じように、レシートも金銭の動きを証明する書類です。
大きな違いは、領収書には宛名(受取人)の記載があり、レシートにはないことだけです。
税法では、領収書を含む「受取証書」に記載するべき項目を以下の6つとしています。

  1. 取引の日付
  2. 宛名(受取人)
  3. 金額(支払代金)
  4. 取引内容(但し書き・明細)
  5. 印紙(金額が5万円以上の場合)
  6. 発行者の名前と住所


一般的なレシートには宛名(受取人)の記載がないことから、一般的には領収書の代わりとしては認められません。
しかし、特定の事業については、宛名(受取人)の記載は不要であり、これがなくても「受取証書」として認められる場合があります。

  • 小売業
  • バス、鉄道、航空会社などの旅客運送業
  • 旅行に関する事業
  • 飲食業
  • 駐車場業


上記に該当する事業であれば、レシートも領収書と同じ効力を持つ場合があります。
また、領収書と違い、レシートには具体的な商品名や数量が記載されることから、中には領収書よりも信頼性が高いとされることがあるのも特徴です。
この認識については各社の経理処理などにより異なるため、領収書とレシートはどちらが良いのかを一概にいうことはできません。
とはいえ、確実に「領収書」が必要なのであれば、レシートではなく領収書を発行することを推奨します。

レシートは領収書の代わりになる場合がある

領収書を発行するまでの流れ


領収書を発行する際には、まず金銭の取引をしっかり確認して正確に終えておく必要があります。
そのうえで、必要な項目を記載した領収書を、取引相手(受取人)に対して発行するのが一連の流れです。
この時、取引金額が5万円以上である場合は、金額に応じた収入印紙を貼り付けます。
領収書が完成したら複写した1枚を保管し、もう1枚を取引相手に渡します。


領収書に必要な項目と記載ルール

領収書には、先述したように記載すべき項目があります。
それぞれの項目について、記載ルールも含めてご紹介します。


取引の日付

ここには、受取人から金銭を受け取った年月日を記載します。
売掛金の関係で領収書の発行が取引の後になる場合もありますが、この場合でも領収書の日付は金銭を受け取った日です。
この時、和暦で元号の初年ならば、「元年」と表記する必要があります。
また、和暦でも西暦でも、2022年を「22年」などと数字を省略して書かないように注意しましょう。


宛名

宛名(受取人)は、金銭を支払った人の氏名や企業名を記載します。
この時の注意点は、「正式名称で記載すること」です。
たとえば、「(株)」という表記は省略名称になるため、必ず「株式会社」と記載しましょう。
また、受取人から「宛名は上様で」との申し出があった場合には少額の取引であれば「上様」の表記も可能ですが、なるべく会社名などで記入したほうが安心です。

経理上では問題がない場合がほとんどですが、税務処理の現場では「上様」表記が正式に認められておらず、税務調査などの際に無効とみなされてしまうリスクがあるためです。
このことから、宛名ではなるべく「上様」の表記は避けて会社名などを記入することを推奨します。


金額

領収書の各項目の中でも重要度が高いのが、「金額(支払代金)」です。
記載する際は、実際に受領した税込みの金額を記載します。
また、内訳として、税抜き金額と消費税額も別途記載します。
金額記載時には、先頭に必ず「金」や「¥」を、数字の末尾には「也」や「-」を記載することも重要です。
これらを記載することにより、改ざんを防止することにつながります。


但し書き

金銭を受け取る代わりに提供したサービスや商品の内容を、ここに記載します。
「飲食代として」「事務用品代として」などといった形で、最後に「として」を付け加えるのが一般的です。
「お品代として」との記載を受取人が希望する場合には、そのように記載しても問題ありませんが、「お品代として」では意味が広くなりすぎ、使途不明金と分類されてしまう場合があるので注意が必要です。
できる限り「お品代として」の表記は避け、具体的に書くようにしましょう。


発行者の名前と住所

最後に、発行者の情報を記載するのが義務となっています。
名前と住所のほか、連絡先の電話番号も記載しておくと安心です。
手書きのほか、社判での印字でも問題ありません。


必要に応じて収入印紙の貼り付け

金額が5万円以上の場合は課税対象となるため、収入印紙を貼り付ける必要があります。

参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm

上記を参考にして、取り引き金額に応じて必要な額の収入印紙を貼り付けましょう。
収入印紙が適切ではなかった場合や、収入印紙に消印がなかった場合、ペナルティが発生することがあるので注意が必要です。

領収書発行の際の注意点


領収書を発行する際には、訂正印や修正テープなどを使用しません。
記載にミスがあった場合には、二重線などで訂正せず、新しい領収書を用意して書き直しましょう。
相手に渡した後にミスが発覚した場合には、ミスがあった領収書を回収して新しく発行し直します。
不備のあった領収書については、大きく「×」を書いておくと、管理するうえで分かりやすくなります。

クレジットカード払いの場合の領収書はどうなる?


キャッシュレス化が進む近年では、クレジットカード払いも多くなっています。
そのようなケースの領収書についても、ここでチェックしておきましょう。

クレジットカード払いでも領収書は基本同様

クレジットカード払いの場合は原則として領収書を発行する必要はありませんが、領収書の発行を依頼されたら現金払いと同様に作成して問題ありません。
ただし、領収書には「クレジットカード利用」や「クレジット取扱」などと記載する必要があります。
また、5万円以上の金額であっても、クレジットカード払いであったことが記載されている領収書には収入印紙を貼り付ける必要はありません。
5万円以上の取り引きでクレジットカード払いであることが記載されていない領収書は現金払いであり課税文書となるため、収入印紙が必要です。

クレジットカードの明細も領収書として利用できる場合がある

クレジットカードで支払いをした場合には、受取人側の金銭が動くのはカードの引き落とし日になります。
そのため、クレジットカードの利用明細も、下記の項目が記載されていれば領収書として認められます。

  • 店名
  • サービスや商品を購入した日付
  • 購入したサービスや商品の内容
  • 購入した金額
  • 購入者の氏名または企業名




領収書は正しく記載・発行しよう!


領収書は、確定申告や経費処理などの場面で必須となることが多い大切な書類です。
発行する際には、公的書類として成り立つよう、必要事項を漏れなく記入するように心得ておきましょう。
また、5万円以上の取り引きの場合は収入印紙の貼り付けが必要です。
取り引きの証明となる大事な書類である領収書だからこそ、正しい知識の元で作成することが大切です。

監修者

いまい税理士事務所 

税理士   今井 儀徳



※本記事は2022年8月時点の情報をもとに執筆しています。

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