契約の当事者とは、契約を結ぶことによって権利や義務が発生する人のことをいいます。この記事では、契約の当事者についてわかりやすく解説します。あわせて、当事者の権利や義務などについてもご紹介するので参考にしてください。
契約を結ぶにあたって内容を詰めていくと、「当事者」という言葉の定義が気になることがあります。
契約の当事者とは誰なのか、法人の場合の当事者は誰なのか、気になるという人もいるでしょう。
そこでこの記事では、契約の当事者についてわかりやすく解説します。
あわせて、当事者の権利や義務などについてもご紹介するので参考にしてください。
契約の当事者とは、契約を結ぶことによって権利や義務が発生する人のことをいいます。
法律では、権利の行使および義務の遂行ができる者のみが契約の当事者になれると定められています。
権利と義務が発生することから、契約を結ぶ際には契約の当事者が本当に本人であるかどうかも確認することが大切です。
契約の当事者になれるのは、個人と法人のどちらかです。
それぞれの場合の本人確認方法も含めて、ご紹介します。
契約するのが、個人もしくは個人事業主の場合、当事者の欄には氏名か「○○オフィス 代表□□」などと記します。
個人事業主の場合は、屋号だけでなく代表者の氏名も記載することがポイントです。
個人の場合は署名捺印のうえ、本人確認書類を提出します。実印の押印が必須とされている場合は印鑑証明書も合わせて提出するのが一般的です。
ただし、契約当事者となる個人が未成年者であるケースでは、法定代理人による署名捺印も必要です。
また、契約当事者の意思によって代理人に契約を一任する場合には、委任状を作成したうえで代理人を立て、契約書には代理人の署名捺印も必要になります。
法人の契約では、略称を使用せず「株式会社○○」などと正しく社名を記載することが大切です。
さらに署名捺印欄には、代表取締役などの肩書と、代表者名の記載と押印をします。
登記事項証明書の提出によって本人確認を行うことになり、これは社団法人や財団法人などの公益法人の場合でも同様です。
契約を結ぶうえで知っておきたいのは、「契約自由の原則」です。
契約の基本となる4つの原則と、例外についてご紹介します。
契約は、民法によって4つの自由が認められています。
契約を締結するかどうかだけでなく、誰とどのような内容の契約をどのような方式で結ぶのかも、当事者の意思によって決定することができます。
この原則を、「契約自由の原則」と呼びます。
契約自由の原則は基本となりますが、中には例外もあります。
たとえば、上記のようなケースは契約自由の原則の例外です。
いくら自由といっても、労働基準法などに違反している内容の契約は認められません。
また他者から強制的に合意させられたような脅迫による契約であるケースも、契約の効力を認められないことになります。
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契約自由の原則とは?4つの自由の内容、例外について分かりやすく解説!
契約を交わす当事者には、権利と義務が発生します。
たとえば売買契約では、下記の権利と義務が発生することになります。
契約を結ぶと、こうした権利と義務が法的な拘束力を持ちます。
お互いに義務を果たして権利を行使し契約内容を遂行するまで、基本的にこの拘束力は消えません。
口頭のみのやり取りで成立する契約もありますが、契約書を作成しての締結が推奨されています。
その理由は、トラブルを回避するためです。
契約書を作成することで、双方が契約の内容をしっかりと確認することができます。
これにより「言った言わない」「聞いてない」などといったことが起こりづらく、契約そのものを明確にできることが契約書を作成するメリットです。
また契約書を作成することで、当事者双方の合意があったことを証明できるようになるため、万が一トラブルに発展した際にも解決しやすくなります。
契約書を作成する際には、なるべくトラブルにならないように記載内容に配慮する必要があります。
記載すべき内容と注意点を踏まえ、抜けのない契約書を作成しましょう。
契約の内容は基本的に自由ですが、下記の内容について記載しておくとトラブルを回避しやすくなります。
上記のほか、必要に応じて、どこの国の法律を適用するかについての「準拠法」などについて定めるなど、あらゆるケースに備えて、抜けのない内容に仕上げることがポイントです。
また、当事者双方の署名捺印も、忘れずに行いましょう。
契約書を作る際には、個人名はもちろん、法人名なども必ず正式名称で記載します。
また、契約書は当事者の人数分作成し、当事者全員が保管するようにしましょう。
契約書の種類によっては、収入印紙が必要な場合があります。
第1号文書、第2号文書、第5号文書、第7号文書を作成する際には、規定されている金額の収入印紙を貼りましょう。
参照:
(国税庁)No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm
(国税庁)No.7141 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm
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電子契約なら印紙代がかからない!印紙税と収入印紙のしくみとは?
契約している間でも、さまざまな事態が発生することがあります。
ここでは、下記2つのシチュエーションについてのトラブルシューティングをご紹介します。
契約当事者である会社が、社名変更をした場合です。
この場合、社名が変わっても会社自体が変わっていなければ、契約を再度結ぶ必要はありません。
ただし、社名が違うことで法的効力などに心配があるケースなどは、新しい社名で契約書を作り直すほうが安心な場合もあります。
このようなケースでは、当事者双方で話し合い、確認の意味もこめて必要に応じて新しく契約書を作成しましょう。
会社の中の事業の一部を分割する、というケースもあります。
この場合には、会社分割によって他の会社または新設会社に対する承継の対象とされた権利義務は、原則として当然に当該他の会社または新設会社に承継されるため契約書を改める義務はありません。
ただし、状況によって契約書を新しく作成することもあります。
また、債権者保護手続によって異議を述べることで、債権者に対して弁済が実行したり、弁済に値する担保提供等が必要となります。
個人であっても会社であっても、契約の当事者になることは可能です。
どのような場合でも、契約当事者が間違いなく本人であることを確認したうえで、一方のみが不利になるような内容の契約でないかも必ずチェックしましょう。
また後々のトラブルを避けるためにも、契約書を作成することも大切です。
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※この記事は2023年5月時点の情報を基に執筆されています。