「原本」とは?その定義と、写し・謄本・抄本・正本・副本との違い

更新: 2022-09-02 20:12

原本は、その書類のオリジナルで、最初に作成したもののことです。これを知らずに提出や保存をしてしまうと、思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。この記事では、写しや謄本などとの違いについても紹介するので、お役立てください。

  • 目次

 契約書などの書類は、「原本」での提出や保存を求められることがあります。
では、「原本」とは一体どのような定義の書類を指すのでしょうか。
これを知らずに提出や保存をしてしまうと、思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。

この記事では、「原本」の定義についてわかりやすくご紹介します。
また、写しや謄本などとの違いについても紹介するので、お役立てください。

原本の定義


原本は、その書類のオリジナルで、最初に作成したもののことです。
写しや謄本など、さまざまな種類の文書の元となるのが原本で、唯一無二の書類のことを指します。
ただし、原本を複数作成することもあり、この場合はそのどれもが「原本」となります。

写し・謄本・抄本・正本・副本との違い


契約書などの書類には、原本のほかに、写しや謄本、抄本、正本、副本などがあります。
それぞれの定義とその用途についてご紹介します。

写しの定義

原本の内容に基づいて作成され、原本の内容を有する文書のことを「写し(うつし)」といいます。
原本をコピーしたものなどが写しにあたります。
「認証のない謄本」と呼ばれることもあります。
日常生活においては、本人確認の書類として免許証や健康保険証のコピーなどを写しとして提出を求められることがあります。

謄本の定義

「謄本(とうほん)」の定義は、原本と同じ文字・符号を用いて原本の内容をすべて写し取った文書であることです。
すべてを写すことを「謄写」といい、ここから「謄本」という名になっています。
謄本のうち、裁判所書記官、市町村長、公証人その他権限のある機関が原本の内容と同一であることを認証したものは認証謄本として、原本などと同様に取り扱われることがあります。
一般的には、「戸籍謄本」や「不動産登記簿謄本」に使います。

抄本の定義

「抄本(しょうほん)」は原本の一部について、原本と同じ文字・符号を用いて写し取った文書で、謄本と違いは、原本の内容の全部なのか一部なのかという点です。
「抄」には「一部を書き出す」という意味があり、ここから「抄本」という名になっています。
たとえば、家族全員すべての情報ではなく1人分だけの情報が欲しい場合に請求する際に、戸籍謄本ではなく戸籍抄本を請求します。

正本の定義

「正本(せいほん)」は謄本の一種ですが、法令の規定に基づき、権限のあるものによって「正本」として作成されるものをいいます。
原本を一定の場所に保存することを要する文書について、その効力を他の場所で発揮させる必要がある場合に、原本と同一の効力を持つものとして正本が作成されます。
謄本の一種となることから、正本には原本の内容がすべて記載されます。
判決書の正本などがこれにあたり、公証権限を持つ裁判所書記官が「正本である」と認めることで、法令上、原本と同じ効力を持つことになります。
そのため、公証権限のない人がコピーしただけの書類は「写し」となり、正本とは認められません。

副本の定義

正本を基に作成されるのが、「副本(ふくほん)」です。
正本の写しとなり、通常1通しか作成しない正本の控えとして作成します。
原則として原本と同じ効力を持つのは正本のみとなりますが、場合によっては副本も正本と同じような扱いになることがあります。
たとえば公的機関に提出する書類のうち、送り主が持つものを「正本」、提出したものを「副本」と呼ぶことがありますが、この場合は副本も正本と同等の扱いです。
わかりやすくするために、このように「正本」「副本」と呼び分けることもあります。
また、「写し」は原本を複製したものであり、「副本」は正本を複製したものであるという違いもあります。



原本が必要になるケース


オリジナル文書として重要な原本だからこそ、原本は手元などに保管し、 写しなどの複製書類を手続きの際に提出するのが一般的です。
しかし、なかには原本が必要になるケースもあります。

訴訟で裁判所へ提出するケース

民事訴訟法の定めでは、証拠として提出する書類は原本でなければなりません。
証拠は取り調べのために、裁判所から「原本」の提出を命じられます。
写しなどでは信頼性に欠けること、原本はオリジナルで元々の文書となることから、原本の提出が必須となります。

税務調査などで税務当局へ提出するケース

税務申告が正しいかどうかの税務調査では、領収書などの資料が必要です。
この調査に際しては、取引を証明する資料の原本を提出しなければなりません。
特に、通常の任意調査ではなく強制調査の場合は、原本の提出を強く要請されることがあります。



原本が提出できない場合の原本証明とは?


原本証明は、原本と同じ内容であることを証明するための書類です。
たとえば「写し」などの場合、原本証明を発行することで書類の信頼性が高まります。
行政や金融機関などへの手続きで、どうしても原本を提出できない場合に、写しと原本証明の提出を求められるケースがあります。

原本証明には、決まったテンプレートはありません。
「この写しは原本と相違ないことを証明します。」などの文言と、作成する日付、住所や氏名、印鑑を押して原本証明とするケースがほとんどです。

電子契約においては、クラウド上の電子契約書が原本となる


紙面の書類においては原本のほか、写しや謄本などさまざまな種類がありますが、電子化された書類の場合は基本的に原本や写しなどの区別がありません。基本的にはクラウド上の電子契約書などの書類が原本とされ、どのファイルも原本としての効力があります。
これは、電子署名やタイムスタンプなどにより、最初に作成されたファイルであっても、その写しであっても、改変されていないことが立証できるためです。

税務上は、クラウド上の電子ファイルを原本と認識するとの見解もありますが、一般的な契約などで使用する際には、どの書類も原本として扱って問題ありません。

裁判で提出するのは印刷したものでよい

裁判所へ提出する書類は原本でなければならないとご紹介しましたが、電子ファイルの場合は印刷して提出しても問題ありません。
電子契約では、どの書類も原本と同等の効力を持つからです。
実際の訴訟でも、印刷した書類を提出したものが証拠として採用されています。



電子契約は「契約大臣」で効率的に進めよう!


どのような契約や手続きをするのかにより、原本や写しなどは使い分ける必要があります。
原本はオリジナルで重要な書類となるため、本当に必要な場面以外では保管しておくといいでしょう。

本人確認書類などの必要書類も写しでの提出が可能な場合がほとんどですが、その後の契約については業務が効率化できる電子契約がおすすめです。
電子契約ならば、どの書類も原本として扱うことができるほか、手続きもスムーズに進められます。
原本が必要となる訴訟などの場面に直面しても、印刷で対応できることもメリットです。

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