近年急速に普及が進んでいる電子契約。いつでもどこでも契約が行えることやコスト削減効果などのメリットがありますが、リスクも存在します。事前にリスクを把握し、電子契約の導入が行えることを確認しましょう。
紙での契約が当たり前だった時代から一転、近年では電子契約を導入する企業が増えています。
しかし、重要な契約をデジタル化するということに、不安を抱えている方も少なくありません。
この記事では、電子契約の仕組みやリスクについて詳しくご紹介します。
あわせて紙での契約を続けることのリスクについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
電子契約は、今まで紙ベースだった契約書などを、インターネット上でやり取りするものです。
作成から送付、契約の締結までをオンラインで完結することができる利便性の高さから、近年では導入する企業が急増しています。
インターネット環境があれば時間や場所を問わずに利用できることや、印刷代や送付代などがかからずコスパが良いことが魅力の電子契約。
インターネットが広く普及したからこそメリットが大きい電子契約ですが、この仕組みがデメリットになる部分もあります。
そのため、メリットとデメリットを双方理解したうえで導入するかどうかを判断しましょう。
電子契約のリスクは、主に5つ挙げられます。
導入する企業が急増しているとはいえ、すべての企業が電子契約を導入しているわけではありません。
取引先の企業が電子契約を導入していない場合や、デジタル化への信用が低く導入に後ろ向きな姿勢である場合、電子契約を締結する承諾を得られないことがあります。
電子契約は、契約する双方がデジタル化を承諾していなければ成り立たないことが特徴。
どんなに一方が電子契約に切り替えたいといっても、相手の同意がなければ実現できません。
また、事務処理などの都合によりデジタル化が難しいケースもあります。
このような場合には、従来通り紙で契約を進めることがほとんどです。
電子契約が認められている契約は、年々増えています。
請負契約書や売買契約書、保証契約書、誓約書など、さまざまな契約書がデジタルで締結が可能です。
ただし、特定商取引法の訪問販売などは、電子契約書による契約が認められていません。
すべての契約がデジタル化できるわけではないことも、電子契約のリスクの1つです。
インターネットを介して行う電子契約では、契約書が改ざんされてしまうリスクがないわけではありません。
悪意を持った第三者や、契約者の一方が契約書の内容を書き換えてしまう可能性もあります。
双方のトラブルを防ぐための契約書でも、このような改ざんがあっては、元も子もありません。
これを防ぐためには、改ざんできないような仕組みを作る必要があります。
電子データである電子契約書は、紙に自筆での署名や捺印を行いません。
そのため、氏名を無断で記載された契約書でも、「自筆ではない」と証明することが困難です。
ペンタブレットや手書きで電子的に署名したものについても、署名した本人のものであるという証明には不十分であるとされています。
目の前での締結ではなくインターネット上での締結だからこそ、こうした証明は難しいといえるでしょう。
不正アクセスにより、電子契約システムに保存してある契約書の情報が漏洩してしまうリスクもあります。
もちろん、セキュリティには十分配慮して契約を行っている企業が多いですが、悪意のある不正アクセスによる情報漏洩リスクは少なからずあるものです。
また、契約者になりすまし、契約書を送信したり契約を無断で締結したりなどといったトラブルも考えられます。
こうしたトラブルのリスクを下げるためには、セキュリティを強化するなどの対策が必要です。
5つのリスクを紹介しましたが、これらは対策することで、回避が可能です。
回避できないものについても、リスクを低減することができます。
まずは、事前に「電子契約書で契約を行いたい」という旨を取引先に伝えておきましょう。
あらかじめ承諾を得ていれば、取引先も準備しやすいうえに、契約もスムーズに進みます。
ただし、今まで紙の契約書で契約を行ってきたケースでは、電子契約導入の合意を得るのが難しい場合もあるようです。
そのような場合は、導入時期の見直しや、社内手続きなど電子契約化が可能なものから切り替えを始めるといった計画を立てることで、「導入したはいいものの使えない」といったリスクを回避できます。
電子契約で締結できない書類もあることから、どのような契約をする可能性があるのかは事前に確認しておく必要があります。
自社で扱う契約書が電子契約も可能であるかを確認しておくことで、そもそも電子契約はできなかった、という事態を防げます。
契約書が改ざんされていないことを証明するのが、「タイムスタンプ」という仕組み。
タイムスタンプが付与されている契約書は、契約を締結してから、改ざんされていないことを証明することが可能です。
タイムスタンプを採用している電子契約サービスを利用することで、書き換えられた契約書は改ざんの痕跡が残り、裁判などでその契約書の証拠力が認められる心配がありません。
契約する際に電子署名を用いると、契約書の送付や締結などを行ったのは誰かを、契約書に記録することができます。
これにより、契約書に署名した本人が契約を締結したことの証明が可能です。
また、契約書とは別に、契約する双方の記録を記した「合意締結証明書」を発行する電子契約システムもあります。
合意締結証明書があれば、万が一紛争になってしまっても、証拠として提出できるので安全な取引が可能です。
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システムのセキュリティを強化するためには、各種ログイン設定やパスワード管理の強化がおすすめです。
システムへのログイン時にはメールアドレスとパスワードで認証するケースが多いですが、電話番号などを用いる2要素認証を設定することで不正ログインを防ぎやすくなります。
また、パスワードを記載した付箋やメモをパソコンに貼るなどすると不特定多数の人の目に触れてしまいます。
このようなことがないよう、パスワードは適切に管理するなど、セキュリティへの意識を高めることも必要です。
従来通り、紙での契約を続けることにも、実はリスクが潜んでいます。
ここで紹介する4つのリスクを踏まえ、電子契約に駒を進めるか紙契約に留まるかを判断しましょう。
紙の契約書は、作成し送付してから相手が受け取るまで一般的に数日間を要します。
取引先の上長承認などの関係で、署名捺印が完了するまで時間を要するケースも珍しくありません。
そのうえ契約書が返送され、これを受け取った後にようやく「締結」となるため、リードタイムがとても長いことがリスクです。
紙の契約書の場合、契約の種類によっては収入印紙を貼り付ける必要があります。
収入印紙をあらかじめ用意しておく必要があり、契約によって必要な収入印紙の金額を調べなくてはなりません。
また、契約書の郵送にも費用がかかるうえ、急ぎで送付する場合は追加料金もかかってしまいます。
コストがかさむうえに、手間もかかるといえるでしょう。
社内の決裁者が不在だと、契約を進めることができません。
この場合、急ぎだからと、社員が印を持ち出してしまい勝手に押印されるリスクもゼロではないでしょう。
決裁者以外が押しても社印の効力は変わらないため、知らず知らずのうちに契約が進んでしまうリスクもあります。
紙の契約書の場合、紛失や盗難のリスクは避けられません。
移動中に、契約書を入れた鞄を紛失してしまうことがあるかもしれません。
書類と書類の間に紛れてしまい、重要な契約書を誤って廃棄してしまう可能性もあります。
また、デスクの上に置きっぱなしにしていれば、盗難の危険性も出てきます。
紙の契約書は適切に保管することが欠かせませんが、保管するまでのステップでも紛失や盗難のリスクがあることも覚えておきましょう。
多くのメリットがある電子契約ですが、注意すべきリスクがあることも忘れてはいけません。
安心して電子契約を導入・利用していくためには、安全な契約システムを選ぶことが大切です。
電子契約システム「契約大臣」では、契約締結時に契約書のPDFファイルにタイムスタンプを付与しているため、どのプランを利用しても改ざんリスクを抑えることができます。
オプションの電子署名も使用すれば、契約書を送信した人や締結した人のメールアドレスと日時の情報も残るため、契約の締結を証明しやすくなります。
また、2要素認証機能を設定することで、不正アクセスを防いだり、なりすましリスクを低減したりすることも可能。
ファイアーウォールや暗号化通信といったセキュリティ対策をしているうえ、第三者機関のセキュリティ診断も受けているので、安全にお使いいただけます。
月々2,200円から利用できる契約大臣ですが、お試しで使えるフリープランもあります。
電子契約の導入を迷っているのなら、セキュリティ対策がしっかりしている契約大臣のフリープランで、実際のサービスを体験してみてはいかがでしょうか。
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「電子契約ってどうやるの?」「導入したいけど、何を準備すればいいかわからない」
これから電子契約をはじめる企業や事業者の方におすすめの記事をご紹介します。
「電子契約のやり方を解説!電子契約システムの運営会社TeraDoxが自社例を公開」
https://keiyaku-daijin.com/media/case-teradox
※この記事は2022年6月時点の情報を基に執筆し、2023年7月に更新されています。